記事検索はこちらで→
2020.08.04

WING

JAL第1四半期決算、売上78.1%減、純損失937億円

リーマン後並みの損失、通期旅客収入最大4756億円イメージ

 日本航空(JAL)が発表した2021年3月期第1四半期決算(2020年4月1日~6月30日)は、今期から国際財務報告基準(IFRS)へ変更し、売上収益は前年同期比78.1%減の763億円になり、財務・法人所得税前損益(EBIT)として1310億円の損失となって、純損失が937億円と、非常に厳しい結果となった。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、供給の機動的な削減を継続して取り組み、変動費削減を実現し、さらに固定費の削減にも取り組んだが、収入の急減をすべて補えず赤字となった。この損失を日本基準で見れば、リーマンショック後の2010年3月期の第1四半期で出した損失990億円に次ぐ規模になる。
 会見で菊山英樹専務は、「大きい純損失を抱えたことを大変重く受け止めている。一過性のものとして捉えるのではなく、先の回復のシナリオについて、安心できる結果を出していくことが最大の責務」だと述べた。株主への中間配当は見送ることとし、連結業績予想も未定とした。ただし、一定の需要回復シナリオを打ち出した上で、航空旅客事業における収入イメージは通期で3700~4756億円になる見込み。利益面としてはさらにそのほかの収益を加え、コスト削減を図ることで、減収額の5割程度が利益悪化に影響するとした。
 売上の中身としては、国際旅客売上が97.9%減の27億円で、旅客数としては98.6%減だった。これは足下の状況でも大きく変わっていないことを注視する。さらに国内旅客売上は85.1%減の189億円で、旅客数は86.7%減だった。こちらは5月の緊急事態宣言の解除以降、想定よりも早いペースで回復していたが、昨今の感染再拡大によって、先行きの不透明感が増している状況だとした。
 この第1四半期で特徴的なのは貨物郵便売上だ。旅客便の大幅な供給削減に伴って、貨物需給が逼迫したため、旅客機材を貨物臨時便として活用し、この3ヵ月間で臨時貨物便3754便を運航した。そのため売上高は16.9%増の265億円となった。物量は限定的ながら、単価が上がり増収となった。さらに貨物の需要に応えるため、傘下のZIPAIRでは成田-バンコク線で貨物専用便の運航を開始した。また、マイレージ、旅行、グランドハンドリング委託など、その他の売上げについては58.8%減の281億円だった。

 

変動費は減収分の約4割削減達成
人件費・ITで固定費290億円削減達成

 

資金調達、コミットメントライン2000億円確保
半年から1年の猶予、調達可能性は前広に

 

通期旅客事業収入は前期比55~65%減のシナリオ
収益全体の減収額約5割が利益悪化額に

 

年度末にもポストコロナの新中期計画
羽田・成田の扱い見直しも

 

※図=JALが示した、通期の収入・利益の試算イメージ(提供:JAL)