記事検索はこちらで→
2020.08.06

WING

自民党の抑止力向上提言、アショア代替早期明示

敵基地攻撃は可能、政府として検討し結論へ

 自由民主党の国防部会・安全保障調査会は8月4日、日本国民を守るための抑止力を向上させる提言をまとめ、日本政府へ提出した。このほど、イージス・アショアの配備計画が廃止となったことで、それまで計画していた総合ミサイル防空能力の強化施策が大きく変更することになった。そこで、イージス・アショアに代わる機能の強化について早急に具体案を示すよう求め、急速に増大する空からの脅威に対応できる能力向上について、検討する必要があるとした。さらに抑止力向上のため、敵基地攻撃能力にも触れた。能力の保有自体、必要最小限度に抑えれば可能との見解を示した上で、方針をまとめることなどを求めた。
 提言書では、3つの観点から意見をまとめ、政府へ対応するよう求めた。その1つは総合ミサイル防空能力の強化だ。まずはイージス・アショア代替機能を確保するべく、常時継続的に領土・領海・領空を守ることができる能力獲得へ早急に検討し、具体案を示すこととした。さらにそのときには、自衛隊として人員確保が大きな課題になることを指摘。隊員にとって負担とならないよう適切な措置を求めるとして、その措置として駐屯地・基地警備などでの各自衛隊間の相互協力を具体例として示した。
 総合ミサイル防空能力は、弾道ミサイルだけでなくあらゆる経空脅威から領空を守るとしている。しかし近年では、極超音速兵器や無人機によるスウォーム飛行など、他国で新しい技術開発が進み、脅威の度合いは日増しに拡大している。提言書ではそうした脅威に対応するため、地上レーダーや対空ミサイルのさらなる能力向上が必要だとして、極超音速兵器などの探知・追尾のために低軌道衛星コンステレーションや、滞空型無人機の活用を検討する必要があるとした。さらに、米国が打ち出した統合防空ミサイル防衛(IAMD)と連携することを求めるとした。
 日本のミサイル防衛は当面の間、海上自衛隊のイージス艦および航空自衛隊のPAC-3によって、日本全域の防護が可能だとする。しかし近年、日本近隣の安全保障環境が厳しくなる中、警戒監視などの任務が増大していて、将来的に常時持続的な防衛体制を維持することに課題が残る状況だ。さらに近隣各国では、新しい技術の投入など、攻撃能力の向上を進めている。将来的な経空脅威への対処も必要とされる。

 

自衛のため最小限度の破壊に限る
相手基地叩く行為は自衛の範囲

 

地域との連携必須、シェルター確保も

 

■河野防相「中国の了解必要ない」

 

※写真=すでに導入を始めているJSM。相手の基地を攻撃できる手段の1つとなる