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2018.07.04

WING

イージス・アショア、地質調査の手順問題なし

大臣訪問前に入札公告、政務官から事前に説明

 

 小野寺五典防衛大臣は7月3日の閣議後会見で、防衛省がイージス・アショア配備に関する地元説明の時点で、地質調査入札の公告を行ったとして批判を受けていることについて、公告前の6月1日に福田達夫・大野敬太郎両大臣政務官を秋田・山口両県へ派遣し、地質調査の必要性を説明したということで、手順に関する問題がなかったことを改めて強調した。
 小野寺大臣は、福田・大野両政務官の現地訪問で、イージス・アショアに関して具体的に説明を行うためには、予め「地質や環境、また、電波などの調査を行わなければいけないことは説明している」とした。大臣の訪問の時期については「ちょうど国会のタイミングを見て両県に行ける日を選んだ」ということで、調査に関する入札公告の日程とは関係していないと説明した。あくまでも6月1日の政務官訪問の時点で、設置調査を行いたい意向を現地に説明しているとした。
 防衛省が地質調査の公告を行ったのは6月21日で、小野寺大臣が現地訪問により説明を行ったのは、その翌日となる22日。大臣の説明を前に手続きを進める防衛省の姿勢に、地元の秋田・山口両県から、場所ありき、との批判が上がった。また7月1日には、秋田市で講演した菅義偉官房長官が「説明段階で地質調査の入札の公告をしたことが、県民感情を逆なでしているとの指摘はおっしゃる通り」と述べた。政府として防衛省の対応に不手際があったと認めるかたちとなった。
 小野寺大臣は、菅官房長官の発言について「重く受け止めている」と述べた。イージス・アショア配備に当たり、地元の理解を得ることが何より重要であり、地元の様々な懸念や要望に丁寧に対応していくことが必要だという考えを改めて示した。防衛省としては、地元に対し「繰返し何度でも丁寧な説明を尽くしてまいりたい」とした。
 さらに「その上で」と前置きして、入札公告を実施している地質・測量調査や、今後実施を予定する電波に関する環境影響調査については、「イージス・アショアを配備できるか否かを確認し、地元に対して説明するために必要な調査」だと語った。それと同時に、同調査が地元の懸念や不安に対し、防衛省が責任を持って具体的に回答するためにも必要だとした。小野寺大臣は防衛省として、イージス・アショアの配備について、地元の理解と協力が得られるよう、「現地での調査に着手する前の適切なタイミングで、その内容や必要性について説明する」として、調査開始前にも地元へ説明する考えを示し、一層の誠意をもって真摯な対応に努めたいと話した。
 また、イージス・アショア搭載のレーダーについて、一部報道でロッキード社製の最新レーダーSSRの採用を固めたという報道について、小野寺大臣は「公平性、公正性を担保しつつ、選定作業を行っているところであり、現時点において搭載するレーダーについては、何ら決まっていない」と否定した。そのほか、6月29日に行った日米防衛相会談では、イージス・アショアについて具体的な議題はなかったとするも、FMS調達について、透明性、効率性などについて言及したことを明らかにした。