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2019.06.03

観光交流でアウトバウンド伸びる

 4月の海外旅行者数は前年同月比22.8%増の167万人となり、4月単月で過去最高を記録した。最近は訪日インバウンドの成長が目立ち、アウトバウンドは肩身の狭い思いをしていたが、ゴールデンウィーク10連休の波に乗って、久々に大幅な伸びを記録した。
 海外旅行者数が2割以上プラスになったこと自体が、あまり記憶にない。調べたら、2012年5月、東日本大震災の翌年に24.2%増を記録しており、約7年ぶりだった。
 日本人の海外旅行者数は4月だけでなく、今年は1月から好調で、とくに4月の伸びが貢献して1-4月累計は10.1%増になった。第1四半期(1-3月)も6.4%増と好調で、実は昨年3月から14カ月連続のプラス成長を維持している。
 好調な方面を見ると、インバウンド同様にアジアの伸びがアウトバウンドの増加を支えているようだ。とくに、顕著なのは韓国で、日本人の訪韓旅行者数は、1-4月で過去最高の28.6%増の108万人と100万人を突破している。
 減少しているとはいえ、1-4月の日本人の訪韓旅行者数が4.4%減の265万人だから半分に及ばないが、4カ月間で日韓双方向で370万人の交流人口はすごいことである。政治的な問題あっても、民間交流はそれに動じず成長していることが心強い。
 中国は訪問者統計を2016年から公表していない。香港への日本人訪問者数は1-3月が10.0%増の36万人、マカオは1-4月が12.3%増の12万人といずれも出国日本人数の伸びを上回り、二桁増で推移している。香港は2月に21%増、マカオは4月に25%増と大幅な伸びを記録しており、港珠澳大橋の利用者増に伴い、香港やマカオは今後さらに高い伸びが期待できそうだ。
 台湾への1-3月の日本人訪問者数は3.0%増の22万人で、出国日本人数の伸び率を下回った。2月は16.6%増と大きく伸びており、4月以降に期待したい。
 東南アジアへの日本人訪問者数は、1-3月でベトナムが8.3%増の23万人、タイが9.5%増の47万人、シンガポールが2.3%増の22万人となり、ベトナムとタイ伸び率は出国日本人数を上回った。
 タイはLCCの運航で、航空座席供給量が大き増えており、アウトバウンド、インバウンドともに好調に推移している。
 一方、ベトナムも経済成長を背景にビジネス、観光需要ともに大きく伸びている。とくに、観光分野ではインバウンドで団体旅行、パッケージツアーが旺盛で、双方向のチャーター便を利用して商品造成する旅行会社も出てきている。
 一方で、ハワイ・ミクロネシア方面をみると、ハワイへの日本人旅行者数は1-3月が2.2%増の39万人で推移した。昨年はハワイ島キラウエア火山の噴火が終息したにもかかわらず、風評被害による影響が残ったが、徐々にプラスに転じつつある。5月24日からの全日空によるA380型機の就航で、全体的なハワイ需要が拡大することが期待される。
 グアムへの日本人旅行者数は1-3月で27.4%増の19万人まで回復した。2017年後半の北朝鮮によるミサイル問題の影響から回復し、2017年前半を上回るペースで進んでいる。年間70万人台を記録した2016年以前のレベルにはまだ遠いが、アウトバウンドの成長には、アジア地域とともに貢献している。
 一方で、厳しい状況が続いているのがマリアナで、直行便がなくなったことで、日本人旅行者数は月間1000人に満たない状況が続いている。今年に入って3月にスカイマークがサイパンにチャーター便を運航したことで、2000人台を記録。スカイマークはゴールデンウィークもチャーター便を運航しており、4、5月は増えるだろう。ただ、3月でも前年比6割減で、定期便の運航が待たれるところだ。
 オーストラリアへの日本人旅行者数は1-3月が4.5%増の13万人だった。出国日本人数の伸びには届いていないが、年間50万人に近い水準で推移している。
 訪日インバウンドはアジアの成長に追うところが大きいが、アウトバウンドもアジアを中心に各国・地域との双方交流を拡大することが、年間2000万人に到達する道と言える。(石原)