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2020.08.17

WING

キャセイ、上期は1358億円の純損失に

創業以来最も困難な状況、回復には数年要す

 キャセイ・パシフィック航空が8月12日に発表した2020年上期(2020年1-6月)の決算によると、期間中の純損益は98億6500万香港ドル(約1358億円、前年同期:13億4700万香港ドルの黒字)の赤字となった。売上高は前年同期比48.3%減少した276億6900万香港ドル(約3810億円、前年同期:5354億700万香港ドル)と、大幅な減収となった。
 キャセイ・パシフィック航空によれば、2019年下半期の業績は香港の社会情勢に影響を受けたものの、旅客需要に回復の兆しが見られた年初は幸先の良いスタートが切っていたとのこと。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大によって、「創業70年以上の歴史において最も困難な状況に置かれることとなった」との認識を示した。「新型コロナウイルス感染症の感染拡大はグループの業績はもとより、世界経済全体にかつてないほど過酷な試練を与えている。世界的な健康危機に伴い旅行産業は深刻な打撃を受けるとともに、先行き不透明な状況が続く中で多くの専門家は新型コロナウイルス感染症による危機前の水準に回復するまでには数年を要すると見込んでいる」としており、同社の回復には長期の時間を要する見通しだ。
 新型コロナウイルス感染拡大で各国政府が講じている厳しい出入国制限などが影響し、同社の2020年上半期旅客事業売上高は、前年同期比72.2%減の103億9600万香港ドルに留まった。有償旅客キロ(RPK)は72.6%減少し、上半期の総輸送旅客人数は前年同期比76%減少した440万人となり、座席利用率も前年同期の84.2%から67.3%へと大幅に低下した。なかでも4月と5月における1日あたりの平均旅客数は500人程度にまで落ち込んでいたという。
 そこで同社としては上半期の輸送能力を大幅に縮小。2月は座席供給量を29%削減していたが、3月には73%、4月と5月には97%削減するなど、月を追う毎に座席供給量が減少していった。6月に若干回復させたものの、2020年上半期の有効座席キロ(ASK)は前年同期比で65.7%にまで落ち込んだという。
 運航便の減少で旅客事業が大きく落ち込む一方、貨物事業のイールドは44.1%増の2.71香港ドルに上昇。これは航空貨物市場における需給バランスの不均衡が2020年上半期の利益を押し上げるかたちとなった。旅客便の運航便数が大幅に減少したため、輸送能力を示す有効貨物トンキロ(AFTK)は31.0%低下したものの、2020年上半期の売上高は前年同期比8.8%増の111億7700万香港ドルとなった。通常、貨物量の約半分は旅客機下部の貨物搭載スペースで輸送されていたため、上半期の輸送貨物重量は31.9%減の66万7000トンに留まったが、貨物搭載率は5.9%ポイント増の69.3%に上昇したという。
 
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