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2020.09.11

WING

日機装はなぜ、エアバスと初の共同開発に成功したか?

将来エンジン部品をエアバスと開発、来年第1Q出荷向け順調

 日機装がエアバスとの間で、ロールス・ロイスが開発中の実証エンジン「UltraFan」(ウルトラファン)のナセル構成部品であるアウターリングを共同開発する契約を締結した。エアバスは、「UltraFan」エンジン用のナセルを開発しており、そのナセル構成部品であるアウターリング開発を日機装と共同で取り組む。
 ロールス・ロイスの「UltraFan」は未だ開発中のエンジンだ。次世代エンジン用の将来技術を実証するためのエンジンとして開発が進められており、ロールス・ロイスは2021年に地上試験を開始することを計画している。この「UltraFan」プログラムへの参画をきっかけとし、将来的に日機装はエアバス社の次世代機部品を生産、直接納入することを目指していきたい構えだ。
 その日機装が欧米大手機体メーカーとの共同開発に成功したのは、今回が初めて。しかもアウターリングの開発も、同社にとって初めてというダブル快挙を成し遂げた。日機装はなぜ、エアバスとの共同開発パートナーに選ばれることに成功したのか、そしてこれまで未経験の部品の共同開発に着手することができたのか---。その裏には同社が得意とするカスケードの製造などを通じて、長年に亘って積み重ねてきた信頼と実績があった。
 本紙の取材に応じた日機装航空部門の長門祥一航空部門長兼航空宇宙事業本部長(取締役執行役員)は、「当社は長年に亘ってカスケードを始めとした航空機部品の生産を手がけてきた」ことに言及しつつ、「我々の製品ラインナップの幅が拡大していくなか、エアフレーマー(機体OEM)の目に留まる直接的な機会が増えてきていた」と振り返る。「エアフレーマーが我々のところを訪問し、調査をされていくなかで、開発パートナー候補としてのレベルを徐々に上げていくことができたのではないか」と話し、大手機体OEMの目に触れることで鍛えられてきたことを明かした。・・・

 

1年前からプロジェクトスタート
コロナ禍でテレビ会議通じた共同開発に

 

日機装の新技術を詰めたアウターリング
脱オートクレーブと新素材でコスト削減

 

※画像=ロールス・ロイスが開発中の次世代エンジン技術実証エンジン「UltraFan」。日機装はエアバスと共同でナセル構成部品のアウターリングを開発する(提供:ロールス・ロイス)

※画像=宮崎日機装の正面玄関。日機装航空宇宙事業の国内モノづくり拠点だ(提供:日機装)

※写真=日機装航空宇宙事業本部の長門祥一本部長(中央)、岩岡潤副本部長(右)、瀧川智子営業部新規事業開発グループグループリーダー(左)