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2020.10.06

WING

中国地方の拠点空港、更なる発展へ

―広島空港長:力丸安幸

【空の日特別寄稿】 中国地方には、広島空港を含め10の空港が点在します。
 現広島空港は1993(平成5)年10月、広島市(旧広島空港)の東方約50キロの広島県豊田郡本郷町(現在の住所は広島県三原市本郷町)に滑走路2500メートルの新空港として誕生しています。その後、滑走路を500メートル西側へ延長し、2001(平成13)年1月から3000メートルで運用しているところです。
 今年で開港27年目となる広島空港ですが、平成30年度中国地方全体の空港の国内線・国際線を合わせた旅客数が約845万1000人、そのうち約298万7000人の方々が広島空港を利用して頂いています。特に国際線の旅客数は中国地方全体の約45%(35万2000人)となっており、広島空港は中国地方の拠点空港に成長しました。
 広島空港は2021(令和3)年7月から民間への運営委託が予定されています。国管理空港としては、仙台、高松、福岡、熊本、北海道4空港(新千歳、稚内、釧路、函館)に続いて9番目のコンセッション空港となります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で運営開始が当初計画から3ヵ月遅れていますが、現在コンセッションに向けた手続きの真っ最中です。9月中には優先交渉権者も決定し、11月頃からはコンセッションの手続きと並行して、業務引継を開始することになります。国が長い年月で培った経験をSPC(特別目的会社)にしっかり引継ぎすることが重要と考えています。
 広島空港のコンセッションでは、空港運用はもちろん、空港そのものの魅力や地理的な好条件を最大限に活かすことが肝だと思っています。空港周辺には緑豊かな森林公園や庭園、サイクリングロードなどの施設が点在し、森林公園内の小高い丘の上からは離着陸する航空機を間近に見下ろすことができます。また、高台となっている空港の西側では、天空に突き出た赤い橋梁(進入灯)も感動ものです。橋梁下の道路から見上げると、高さ数十メートルの構造物に圧倒されます。
 一方で、広島空港は「広島県のほぼ中央」で「瀬戸内海」に近い位置にあり、山陽自動車道河内ICにも近いことから、他の高速道路(尾道道、松江道、中国道、西瀬戸道)や一般道路を経由して、県内の観光地や山陰地方・四国地方への移動に大きなメリットがあると言えます。
 広島空港の東方向には「映画のロケ地」で有名な尾道、「鞆の浦」の福山、西方向には平和記念公園・原爆ドーム等(広島市内)、安芸の宮島、「戦艦大和」で有名な呉、南方向にはマッサンの生家「竹鶴酒造」(竹原)、瀬戸内の島々(しまなみ海道 ※瀬戸内海を渡れば四国愛媛)、北方向には玉造温泉、出雲大社(島根県)など、中四国地方は他に負けない観光地も多く、インバウンドに限らず国内各地から観光客を迎えるステージは整っています。
 これから広島空港は、空港経営改革によって「空港周辺を含めた自らの魅力」を再発見・発掘し、「空港の地理的な位置」を武器に、その魅力を最大限に活かし、中四国地方の観光やビジネスの起爆剤となり得ると考えられます。
 今後も空港関係者の弛まぬ努力により、広島空港が更に発展することを大いに期待したいと思います。(広島空港長 力丸安幸)

 

※写真1=広島空港は全国で9番目のコンセッション空港となる

※写真2=天空に伸びる進入灯は圧巻