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2020.10.28

WING

ANAHD、22年度目処に新中距離LCCブランド運航へ

787型機10機規模、中距離東南アジアや豪州レジャー需要狙う

 ANAホールディングス(ANAHD)は10月27日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年度の最終損益見通しで5100億円の巨額赤字を計上する見通しとなったことを受けて、ANAグループのビジネスモデル変革に乗り出すことを発表した。その最大の柱となるのが、フルサービスキャリアのANA、LCCのピーチ・アビエーションに続く、第3ブランドの立ち上げだ。この第3ブランドでは、中距離東南アジア、豪州線を中心にレジャー需要の取り込みを狙う新たなLCCとしてスタートする。
 需要回復をにらみながら、2022年度を目処に運航を開始する計画で、当初はANAで使用している300席級の787型機を2機活用し、4路線くらいの規模からスタートする。目標としては機材は10機程度まで順次拡大していく方針で、国際旅客需要の回復動向をみながら機材数を拡大する。拠点としては成田空港もしくは関西空港などが有力となる見通しだが、今後検討を深掘りしていく。
 この第3ブランドは新会社として一から立ち上げるのではなく、エアージャパンを母体とすることで速やかな事業立ち上げを可能とする。パイロットも派遣会社からの外国人パイロットの派遣を活用することを想定しており、将来的に今回のコロナ禍のような事態が発生したとしても、リスクを抑えることができるようにする。
 こうした取り組みによって、新型コロナ禍にあって先行きに不透明感が漂うものの、急激な需要動向変化に対応することができるようにする。
 ピーチ・アビエーションもA321LRを導入して、中距離国際線に進出することを決めている。以前からピーチ・アビエーションが787型機のようなより大きな機材を入れて中距離LCCモデルを推進していくことが検討されてきたが、これまでの議論の結果、ピーチ・アビエーションは基本的に単通路機を活用して4時間圏内路線を中心としたビジネスモデルを突き詰めていく方針だ。一方、第3ブランドはピーチ・アビエーションではカバーしきれない路線ネットワークを有することになる見通しだ。
 ただ、世界的にみても中距離LCCモデルは成功することが難しいとされるモデルだ。ANA幹部は「中距離LCCモデルを成功させる秘訣を見つけた」ことを明かしており、第3ブランドで中距離LCCの成功モデルを作り上げていくことに自信をみせた。

 

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※写真=ANAHDは2022年度を目処に新中距離LCCブランドを運航開始する計画を打ち出した。エアージャパンを母体とし、787型機10機規模で中距離東南アジアや豪州レジャー需要を狙う

※写真=ANAホールディングスの片野坂真哉社長は断行する構造改革によって「来年度には黒字化する」ことを表明した