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ジャムコ中間期、四半期純損失43億円に
航空機一本足から他市場視野、リスク分散で
ジャムコが11月6日に発表した2021年3月期第2四半期決算(2020年4月1日-9月30日)によると、四半期純損失が42億9400万円(前年同期:7300万円の黒字)の赤字に転落した。売上高も36.2%減少した258億6000万円(同:405億5400万円)と大きく減少。営業損益ベースでは45億9100万円の損失(同:7億8400万円の黒字)、経常損益も54億900万円の損失(同:3億8400万円の黒字)となった。
ジャムコの大喜多治年社長は「今回の売上減、減益は機体メーカーの減産影響も大きいが、それ以上に世界中で当社製品を搭載している運航中の機体が、運航停止に伴い、内装品のアップグレードや補用品需要が一時的に凍結されていることに起因する」とコメント。「これらの機体運航が再開されることにより、補用品、スペアパーツの回復は間違いなく見込まれる。その際の応需能力の維持・向上にも努めていく」とした。
さらに、「内装品アップグレードの引き合いは戻りがみられる」ことに言及し、「2022年度の納入ではあるが複数の提案を行なっている」として、既に一部では市場の回復の兆しがみえてきたことに触れた。
その上で、「複合材事業では、新たな軽量複合材の開発を進める。航空機以外の輸送手段の構造材、建築用資材など、幅広い分野を対象として製品化を進める」とし、「航空機市場に限定しない製品を有することで、コロナ禍のような環境変化に対しても対応力の高い事業構造を目指す」として、航空機一本足打法だった同社の事業構造を変化させていく方針を示した。
大喜多社長は「事業規模の適正化に加えて、売上コストの低減活動、発注計画の見直しによる在庫削減・適正化も強化している。経費についても、役員報酬や人件費の抑制、各種費用の抑制を行い、前年比95億円の経費削減を目指す」と話すなど、費用抑制を図っていることに言及。さらに、「同時に設備投資計画を凍結して支出を抑えつつ、金融機関と前広に協議を行い、230億円の追加借入枠を設定するなど、資金繰りの確保も図っている」などとして、こうした緊急対策を講じることで早期の収益改善へと繋げていく方針だ。
ジャムコ・シンガポールの解散決定
国内拠点見直しの可能性も
人員削減や一時帰休実施
グループ外出向も活用
中期対策、5分野改革を推進
シート事業収益化が重要ポイントに
内装品事業は34億円の損失
通期業績、最終損失88億円と予想
※写真=コロナ対応で緊急対策を講じたジャムコ。ジャムコ・シンガポールの精算を決めるなど、拠点整理にも乗り出した。写真は宮崎ジャムコ。同工場で生産する航空機シートの収益改善が今後の大きなポイントに