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中部空港、中間純損失94億円超と過去最大赤字に
財投機関債を最大195億円発行で追加資金調達
中部国際空港会社は11月13日、2020年度中間決算(2020年4月1日~9月30日)を発表した。それによると、売上高は対前年同期比81.2%減の67億6000万円に留まった。損益面でも営業損益が91億3000万円の損失(前年同期:営業利益59億6000万円)に。経常損益も85億4000万円の損失(同:経常利益59億2000万円)となり、中間純損益は94億5000万円の大幅な赤字(同:中間純利益38億3000万円)に転落した。
都内で記者会見に臨んだ中部空港会社の各務正人副社長によれば、「中間期としては開港以来、最大の損失を計上し、極めて厳しい結果となっている」ことに言及。営業損益としては開港以来初めて赤字に転落したほか、経常損益および中間純損益ベースでは2009年中間期以来の赤字を計上したことを明らかにした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中部空港が有する航空ネットワークは甚大な影響を受けている。とくに国際線ネットワークは崩壊状態が続き、中部空港会社も未曾有の事態に追い込まれるなど、苦しい財政状態が続いている。そうしたなか中部空港会社は今年6月に政府保証債173億円を発行済みで、あらたに今年度末に195億円を上限とした財投機関債を発行する方針を固めた。
各務副社長は財投機関債の発行について、「当初は予定がなかった」としながら、国に事業計画の変更を申請し、既にその発行が認可されたことを明かした。その上で、「具体的にいくら発行するのかということは、今後の資金需要をみながら確定していく」とし、手持ちのキャッシュの状況を見ながら財投機関債の発行額を詰めていく方針だ。
中部空港会社によれば、「ここまで(コロナ影響が)長引いてくると、資金繰りとして必要だということで事業計画を見直した」という。
各務副社長は発行済の6月の政府保証債、そして年度末に発行予定の財投機関債に触れ、「その意味では十分にキャッシュは準備することができるということで、今年度から来年度にかけて当面はキャッシュについて心配がない」と話した。
空港事業収入は67%減の52億円
国際線旅客99.9%減、国内も51.6%減
商業系収入、175億円超減収で約12億円
全体収入の3割占める免税収入消失
仕入れ大幅減で営業費用47%減少
一時帰休、最大4割強、現在も約2割活用
通期予想、最終損失202億円と過去最大の赤字
国際線は現状継続で2万人、国内は170万人予想
※写真=中部空港の中間決算は94億円の純損失に。通期でも202億円の純損失を見込むなど厳しい。写真は都内で会見に臨む中部空港会社の各務副社長