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防衛研究所、中国目指す“世界一流の軍隊”分析
情報化戦争の先に見据える智能化戦争へ対応
防衛研究所は11月13日、新しい時代における中国の軍事戦略をテーマにした「中国安全保障レポート2021」を発表した。このレポートで中国は、今世紀半ばまでに人民解放軍を米国と並ぶ世界一流の軍隊にする長期目標を実現させるため、先端科学の軍事利用を推進して軍事的劣勢を覆す狙いがあると分析。情報化戦争のさらに将来、“智能化戦争”を見据えて、人と機械が一体化した指揮システムを構築する考えだとした。
防衛省のシンクタンク、防衛研究所が毎年発表する中国安全保障レポートは、同研究所の研究者が独自の立場で中国の戦略などを分析したもの。中国を含む国内外の研究機関などとの対話の題材を提供し、議論の深化を図る。不透明感の強い中国の軍事戦略や、安全保障を巡る動向を中長期的な視点で分析したレポートとして、日本語・英語・中国語で全文公開するもの。このたび発表した21年度版では、中国が急速に進める先端科学技術の発展の位置付けと、国際安全保障環境への影響を中心に検証した。
キーワードの1つとなっている“智能化戦争”は、AI、IoT、マシンラーニングなどの技術を利用し、発展させた戦争の形態。相手側の意図など正確に分析・判断した情報を指揮官へ提供する。情報化戦争では、人による分析にAIの分析を加えた情報をネット化し、システム化することになる。これに対して智能化戦争では、人とAIを同列にした情報を扱う。IoTの技術によって、装備品などのモノ自体が状況を把握して、最適な情報を提供することになる。中国では、AIの軍事利用について2014年にすでに定義していて、2017年には明言していた。・・・
新領域が新たな攻略ポイントに
サイバー戦略で重視する制情報権
現代戦に勝利する情報と宇宙
軍の民間技術導入・サービス利用も
※図=「中国安全保障レポート2021」の表紙(提供:防衛研究所)