10月は旅行の正念場
10月1日よりGo Toトラベル事業から除外されていた東京発着の旅行が加わる。日本中から国内旅行最大の観光地である東京へ、国内旅行最大市場の東京都民が全国へ旅行に出掛けていく。
9月18日からGo Toトラベル事業の東京発、東京着のツアー、宿泊等の割引が開始され、週末を中心にツアー、ホテルへの予約が殺到している。
北海道、札幌など国内遠距離の旅行が多いと聞くが、予約サイトを見ると、東京から車で1〜2泊が可能な関東甲信越・静岡などの有名旅館は10〜11月はほぼ満室の状況だ。
実は「Go To 東京」は10月からだが、10月を前にして既に東京発着の旅行は始まっている。スタートの号砲を鳴らしたのは小池百合子都知事だ。
小池知事は9月10日の会見で、東京都民の外出自粛要請の終了を宣言し、東京都民は晴れて都外の外出・旅行自粛の「足枷」が取れ、道府県民は東京都を訪問することに躊躇しなくても良くなった。
東京都の方針を受けて、政府は9月11日の感染症対策分科会に東京発着旅行を、地域共通クーポンの利用開始と同じ10月1日からGo Toトラベル事業の対象とすることを諮り、正式に決定した。
7月22日の東京発着を対象外としたGo Toトラベルのスタートを「ホップ」とするなら、9月10日が「ステップ」の日となる。なぜなら、この日から9月19日〜22日の4日間のシルバーウィークへの東京都民の都外への旅行、都外からの都内への旅行が一挙に加速した。
シルバーウィークは全国の観光地が夏休みどころから前年のシルバーウィークを凌ぐ賑わいを見せた。とくに、東京発着の旅行は「Go To 東京」の前にも関わらず大盛況で、シルバーウィーク期間の高速道路は久々に大渋滞の様相を呈した。
Go Toトラベル事業についての感染症対策分科会の提言は、東京発着に限らず全国の都道府県で感染警戒レベルが3以上になった場合にはGo Toトラベル事業の対象から除外することを検討するとの但し書きがつく。
その場合は、東京都だけでなく、全都道府県で万が一除外される場合には、キャンセル料は徴収しない方針が示されている。そうならないために、事業者、旅行者双方に感染防止対策の徹底化を要請している。
しかし、シルバーウィークの旅行大混雑は施設側にとっては想定外だったことが懸念されている。例えば、ホテルでは朝食など、観光施設ではアトラクションなどに大行列が起き、見ている限り、とてもソーシャルディスタンスの確保とは言い難い状況も見て取れた。
国内における新型コロナウイルスの1日の感染者数は7月30日の1762人をピークに減速し、9月21日は307人まで下がった。この2カ月間もある程度のアップダウンを繰り返しながら漸減してきた。
シルバーウィーク期間の感染者数は2週間後、10月1日以降に結果が出てくる。10月1日からの東京発着を含むGo Toトラベル事業の「完全実施」の可否が、10月の感染者数の推移に懸かっている。
Go Toトラベル、地域共通クーポン、Go To EatなどGo Toキャンペーンを計画的に進めていくことにより、感染防止対策の徹底と経済社会活動再開の両立が図られる。新規感染者数のアップダウンはあっても、再拡大は何としても避けなくてはならない。
Go Toトラベルの「完全実施」が国内旅行回復の「ジャンプ」となり、それが海外・訪日旅行への「ステップ」につながる。国際往来のビジネストラック、レジデンストラックの実施とともに、国内旅行が盛り上がることで海外・訪日旅行の扉が開く。気を緩めることなく、感染防止対策の徹底が求められる。(石原)