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三菱重工、東南アジア生産強化を検討
MHIVA軸にベトナム・タイなどアジア域内サプライチェーン視野
三菱重工業の廣瀬圭介執行役員(民間機セグメント長兼民間機事業部長兼名古屋航空宇宙システム製作所長)が本紙のインタビューに応え、777X向け乗降扉や737型機用フラップの組立を担うMHIエアロスペース・ベトナム(MHIVA)のベトナム工場を中心とした、東南アジアのサプライチェーン拡大を検討していることを明らかにした。廣瀬執行役員は「ベトナムに限らず、近隣国のタイなど、アジア全体のサプライチェーン展開を視野に入れていきたい」方針だ。
そもそもベトナム工場は、円高など為替耐性を高めることのほか、日本に比べると人件費が安いなどの特徴を生かし、低コスト生産を行うことを目指して航空機部品の組立ラインが立ち上がった。当初は737フラップの組立作業を担っており、一方で日本国内工場は複合材部品など高い技術力が求められる部品製造に注力することにしていた。
そうしたなかベトナム工場は徐々にその力を蓄えてきており、737フラップをボーイング工場に直接納入することができるようになったことはもちろん、開発中の最新鋭機777Xのドアの製造を担うなど、その存在感が徐々に高まってきている。
また、「(MRJなどの製品を)エアラインに売り込む際、現地生産をしている場合、商談が有利に働く材料にもなる」との見方を示しており、最近では「オフセット」に近いかたちで、現地での部品生産を求めるような新興国が少なくないことから、そうした状況に際して、有効な交渉ツールとなるとの認識を示した。
松阪クラスター、「ポテンシャルは非常に高い」
必要な認証取得などの課題も
一方、日本国内には既に三菱重工が主導するかたちで松阪クラスターが発足した。同クラスターは三菱重工の松阪工場内に、航空機部品製造を担うサプライヤーを集約することで、いわゆるノコギリ発注を解消し、部品の一貫生産を担うべくスタート。MRJやボーイング・プログラムの航空機部品生産等を担い、ノコギリ発注解消によるリードタイム短縮効果と低コスト化、中小企業の力のボトムアップなどを図っていくことが狙いだ。
日本国内に構築した松阪クラスターを、どのように評価しているのか。廣瀬執行役員は「ポテンシャルは非常に高い」との認識を示しつつ、「従来はノコギリ発注方式で様々な場所に工程毎にモノが分散していた。クラスター化したことで各工程を一カ所に集約することができた」と評価。ただ、「松阪クラスターは生まれたばかりであることに加えて、現状、MRJの量産が立ち上がっていないこともあって、まだ基盤作りの段階」とし、十分な仕事量の確保やプロジェクトに必要な認証の取得などの課題に取り組んでいく必要があることを明かした。
※写真=三菱重工業の廣瀬圭介執行役員(民間機セグメント長兼民間機事業部長兼名古屋航空宇宙システム製作所長)