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2021.03.12

WING

川崎重工業、水素航空機用燃焼器、小型エンジン試作・試験へ

水素・燃焼器のカワサキ、水素燃料航空機は「使命」

 川崎重工業は昨年10月、水素燃料航空機用の燃焼器の研究開発を進め、2030年までに実証することを表明した。折しも世界的な航空機メーカーの一翼を担うエアバスが、2035年までに水素航空機を市場投入することを9月末に発表しており、川崎重工業も水素航空機への参画意志を世界に強く発信するかたちとなった。
 川崎重工業の最大の強みは、水素燃料に対する豊富な知見を既に有していることだ。オーストラリアのビクトリア州で産出される褐炭から水素を抽出し、その水素を液化して2026年までに建造する水素燃料搬送船を使って日本へと搬送、日本国内の水素社会実現に向けた礎を築きつつある。ちなみに神戸空港沖に水素貯蔵施設を建設済みで、神戸ポートピアホテル付近の「スマートシティ」で産業用ガスタービンを使った発電・電力供給にも成功。こうした水素燃料に対する技術・ノウハウを蓄積した実績を武器に、国際的な開発競争が激しくなってきた水素航空機にも参戦した。
 リモートで本紙の取材に応じた川崎重工業航空宇宙システムカンパニー航空エンジンディビジョン長を務める越山雄執行役員(越山ディビジョン長)は「航空宇宙システムカンパニー全体で、水素航空機の研究開発を進めていく。先日、そのためのチームが発足した」とし、機体・エンジン両部門が連携して「水素航空機用エンジンの燃焼器、燃料タンク、エンジンに水素燃料を供給するシステム全体をどのようにするか、その検討を進めていく」ことを明らかにした。その上で、「我々は”水素のカワサキ”ということを自負している。同時に”燃焼器のカワサキ”ということも自負しており、水素航空機用エンジンの燃焼器開発は我々の使命だ」と強調した。
 川崎重工業では2030年までにその水素燃焼器の実証を進めていくとしており、今後は低NOx(窒素酸化物)化などといった環境適合性に関する研究開発のほか、安定燃焼、小型軽量などといった航空機の技術ニーズを満足するべく、リグ試験や小型エンジンを用いた試作・試験、そして解析などといった各種研究開発作業を進めていく方針だ。

 地上と異なる作動条件、様々な技術開発要素
 産業用ガスタービン技術を活用

 
 水素燃料では地上用の産業用ガスタービンで確かな実績・知見を有する川崎重工業だが、空のフィールドは少し様相が異なる。というよりも、・・・・・・・・。

マイクロミックス燃焼技術活用も視野
 
※写真=川崎重工業が開発に取り組んだエコアニュラ燃焼器(※水素燃料航空機用燃焼器ではない)。水素燃料航空機用燃焼器の燃焼器の開発も進めていく(提供:川崎重工業)