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2018.08.29

ウイングトラベル

観光庁概算要求、2.45倍の785億円を要求

国際観光旅客税」で480億円、各省配分は今後

 観光庁は平成31年度(2019年度)の概算要求で、新設する「国際観光旅客税」による税収財源の480億円を含めて、前年度比2.45倍の785億3300万円という大幅な増額要求を行った。新税による税収は、観光庁に一括計上された上で、観光戦略実行推進タスクフォースでの議論を経て、関係省庁へ配分されるため、480億円のうち観光庁への配分額がいくらになるのかは現時点では未定。ただ、今年度の配分(60億円中32億5000万円、54.2%)に照らせば、480億円のうち260億円程度が観光庁に計上される計算で、その場合の観光庁の予算規模は565億円程度、前年度の2倍に増額される要求規模となる。
 「国際観光旅客税」は、2019年1月7日から出国者一人あたり1000円の徴収が開始される。2018年度は1〜3月までの3ヶ月間の税収として60億円が予算化されたが、2019年度は初めて満年度で財源が確保される。税収額の算定に当たっては、直近年度の平成29年度(17年4月〜18年3月)の出国者数(外国人出国者数3000万人、日本人出国者数1800万人)から、計4800万人で480億円の税収を算出、要求した。
 480億円の具体的な配分については、秋以降に開かれる「観光戦略実行推進タスクフォース」で、民間有識者の意見も踏まえつつ検討を行い、来年度予算案がまとまる年内には決定される。
 新税の使途については、大きく3分野に充当するとの基本方針が閣議決定されており、とくに、既存施策の財源の単なる穴埋めではなく、受益者負担で納得感があり、先進性や費用対効果が高く、地方創生などの政策課題に合致することが求められている。
 そうした条件に照らし、観光庁は現時点で国際観光旅客税の財源充当施策として、以下のような事業を想定している。今後、これらをたたき台にタスクフォースで検討されることになる。
【国際観光旅客税財源充当事業(案)】
《ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備》
▼最先端技術を活用した革新的な出入国審査等の実現等
▼公共交通利用環境の革新等
▼ICT等を活用した多言語対応等
▼旅行安全情報等に関する情報プラットフォームの構築等
《我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化》
▼欧米豪を対象としたグローバルキャンペーン
▼デジタルマーケティングを活用したプロモーションの高度化等
《地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上》
▼文化財や国立公園等に関する多言語解説の整備
▼文化財の観光資源としての開花
▼国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化
▼魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放
▼古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり
▼新たな観光資源の開拓
▼世界水準のDMOの形成・育成等

 

観光庁、国際部門の新設と16名の増員要求
国際観光部長やIR・MICE担当参事官新設を

 観光庁の平成31年度(2019年度)の組織・定員要求では、国際部門の新設と、「国際観光部長」(仮称)、「IR・MICE参事官」(仮称)の新設を含めた16名の増員要求を行った。
 国際部門については、訪日プロモーションや双方向交流、IR、MICE推進などを担当する。
 IRについてはこれまで内閣官房のIR推進本部が対応に当たってきたが、先の通常国会でIR実施法が成立し、今後は国土交通大臣の実施事務としてIR区域の認定などが必要になることから、IRの実施や監督業務を行うため、新たに観光庁に組織新設を要求したもの。

 

祭りやイベントでの免税販売手続き簡素化を
観光庁税制改正要望、免税店許可ある事業者で

 観光庁の税制改正要望では、外国人旅行者向けの消費税免税制度について、さらなる拡充を要求する。具体的には、既に消費税免税店の許可を受けている事業者が地域のお祭りや商店街のイベント等に出店する場合、簡素な手続きで免税販売することを認める措置を講ずるよう求める。
 現在は、既に免税店許可を受けている事業者であっても、祭りやイベント等に出店する場合は新たに許可を受けなければならず、その煩雑さから免税販売の機会を逸するケースがあった。そのため、既に免税店の許可がある事業者については、より簡素な手続きで祭りなどの機会に免税販売が行えるようにしたい考えだ。