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IHIエアロ、複合材技術は航空エンジンにも
自社開発のロボ投入など生産効率化
IHIエアロスペース富岡事業所の田村博所長(取締役)が本紙の取材に応じて、同社得意の複合材技術が生きているPW1100G-JMエンジンについて、これまでに「これまでに累計1000台強分のファンケースを出荷した。このうちPW1100G-JMの生産量が約800台で、A220型機向けのエンジンが200台ほど」を出荷したことを明かした。
同社が誇る複合材技術は宇宙分野に留まらず、航空機のエンジンにも生きている。それがエアバスのベストセラー機であるA320neo搭載用エンジンであるギアド・ターボファン・エンジン「PW1100G-JM」と、新たにエアバスの製品ラインナップに加わったA220(旧Cシリーズ)搭載用エンジンである「PW1500G」に使用されているファンケースにみられる。同社は得意の複合材技術を生かして、一体成形する全複合材のファンケースの製造を担当している。
このファンケースに適用している複合材を独自に開発したのもIHIエアロスペース。富岡事業所においてファンケースの生産を開始したのは2014年7-8月頃のこと。2015年から出荷を開始したが、これまでに累計1000台強分のファンケースを出荷した。
このギアド・ターボファン・エンジンの生産における特徴は、大量生産だ。エアバスがA320neoを大量受注していることもあって、そのエンジンの生産量も開発当初から高レート生産に挑まなければならず、まさに「垂直立ち上げ」というに相応しい様相で生産ラインは増産に対応している。
田村事業所長は「2015年当時の出荷台数は約60台だったが、2016年には250台、17年には500台、今年は1000台もの生産台数に達することを見込んでいる」とのことで、「まるで倍々ゲームのように製造数が増加している」という。
その上で「生産数が大幅に増加していく一方、当初想定した工場エリアと設備のなかで、如何にして倍々ゲームの数量をつくるような体制を構築するかということが一番苦労したところ。この三年間は、日々戦いだった」と振り返る。