ラオス02
国を象徴する動物からラオス人の心を知る
ラオス人は象を大切にする
ラオスの人にとって、象はとても身近な存在であるとともに、神聖な動物として敬われています。その背景には、1353年にラオ人のファー・グム王がルアンプラバン(ルアパバーン)に「ラーンサーン王朝」を築いたことにあります。ラーンサーンとは「百万頭の象」を意味します。
日本では動物園でしか見ることはできませんが、ラオスでは、今でも貴重な労働力であり、外貨を稼ぐ観光素材としても大切にされています。
一方で、原生林の伐採など環境の変化により象の数が減少していることから、ラオス各地には「エレファント・キャンプ」が設けられ、象の保護活動にも積極的に取り組んでいます。
ラオス人にとって象は、国を象徴する大切な存在です。人々の生活のパートナーとしてどのように象が大切にされているかを知ることで、ラオスの暮らしへ目を向けるきっかけになるかもしれません。
国旗のデザインからラオスと日本に興味を持つ
ラオスの国旗は日本の国旗に似ている
ラオスの国旗は、赤帯に挟まれた青帯の真ん中に白い丸が描かれており、色違えども日の丸とデザインが似ており、どこか親しみを覚えます。この国旗は、1952年以来、ラオス愛国戦線(パテト・ラオ)が使用していたもので、1975年のラオス人民民主共和国成立時に正式に採用されました。
白い丸は、ラオスの人たちの生活を支えるメコン川にのぼる月を表し、国の統一の意味と明るい未来への願いを込めています。赤革命で流された尊い血の色、青は国の豊かさを象徴することで、ラオスの過去と現在を表しています。
国旗のデザインに関心をもち、その国を知るきっかけになれば効果的です。学習後に実際にラオスを教育旅行で訪れて、ラオスの国旗を目にした時の生徒の感じ方は変わってくるでしょう。
【愛知県立常滑高等学校(海外研修)】
本校は、2017年から本校独自のラオス研修旅行を隔年で実施しています。1週間の滞在中、ビエンチャン高校との文化交流、ホームステイなどを行い、ラオスの伝統文化を体験するとともに、現地の青年海外協力隊の活動の視察などを通じて、日本を外から客観的に眺め、自分の価値観を見直す機会を得ることで、生徒たちは大きく成長して帰国しています。
目標は、ラオスの伝統文化を体験することに加えて、日本とラオスの関係、国際協力の視点から研修を行うことです。また、お互いをよく知ることで相互理解を深め、ラオスだけでなく世界とのつながりを意識するところにあります。研修に参加していない生徒とも研修での学びを共有し、ラオスの学校に図書室をつくる学校全体での活動にもつながっています。
研修旅行前の事前学習は8回程度実施しています。生徒たちは、そのなかで自分たちの研修旅行でのミッション10か条を考え、その達成を常に意識しながら研修期間を過ごします。研修中には振り返りやディスカッショ
ンの機会を設け、それぞれの感想を共有することでより充実した研修になるように心がけています。
生徒の感想からは、多くの学びを得たことがうかがえます。ラオスの人々の優しさ、英語によるコミュニケーションの楽しさ、国際協力の大切さなどに気づくとともに、幸せについての価値観を考えるきっかけにもなっているようです。