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2022.06.06

ウイングトラベル

★トラベル懇話会会長に百木田東武トップ社長

懇話会の伝統や文化を守りつつ「進化を」

 トラベル懇話会は6月3日に通常総会ならびに理事会を開催し、新会長に百木田康二前副会長(東武トップツアーズ社長)が就任した。原優二前会長(風の旅行社代表取締役)は副会長に就き、再任された坂口法久副会長(霞が関トラベル社長)とともに引き続き新体制を支える。総会後に100名強の会員らが参集してリアル開催された『第45期キックオフパーティ』であいさつした百木田新会長は、「旅行・観光産業が極めて厳しい状況にあるからこそ、トラベル懇話会の意義がある。会員が一緒に勉強し、情報を共有し、そして何よりも自由闊達な議論ができる。JATA(日本旅行業協会)とはまた違った立場で要望、提案ができる」とその意義を強調した上で、「懇話会の伝統と文化を守りながらも、この会を進化させていかなければならないと考える。環境が大きく変わる中で、そのままの会の運営ではいけない。文化、伝統は守りながらも新たな会の運営に携わっていきたい」と意欲を示した。  トラベル懇話会は45期目を迎え、百木田会長は第12代会長となる。会長就任に当たり百木田氏は、「設立から現在に至るまでの懇話会の歴史、文化の重みを感じている」として、「大変な重責だが、原副会長、坂口副会長、理事、すべての会員の皆さんの協力のもとで、トラベル懇話会の運営に尽力していきたい」とあいさつした。

※写真=キックオフパーティであいさつする百木田康二トラベル懇話会会長

 事業環境の変化についても触れ、「まだまだ十分ではないが、いよいよ水際が開く。およそ2年ぶりにインバウンドの受け入れが管理型ツアーから開始される。それに伴ってアウトバウンドも再開し、活動がいよいよ加速していくものと考えている」として、「トラベル懇話会の会員はアウトバウンド主体の企業がたくさんいる。まさにここからが反転攻勢の機会になる」として、水際緩和を契機に反転攻勢につなげたい意向を示した。

 懇話会としても今年度からできる限り2019年度の活動に戻し、「リアルの活動にシフトチェンジしていく」。月例会、新春講演会、夏期セミナー、各種研修などの事業を通じて、懇話会に参加するメリットを最大化していくほか、「業界が抱える課題に対して積極的に議論を進め、解決策を見いだしていきたい」と意欲を示した。

トンネルの出口を抜けることが目下最大の目標

高橋JATA会長、一致結束して声を挙げ続ける

 来賓を代表してあいさつした高橋広行JATA会長は、「2年以上にわたり暗いトンネル生活を余儀なくされたが、トンネルの出口はそこまで来ている。あと一踏ん張りであり、一緒にトンネルを全員で抜けて、その後は各社の自助努力となる。まずはトンネルを抜けることが目下最大の目標だ」として、「JATA会長として微力ながら課題解決に向けて汗をかきたい」と協力を呼びかけた。

 旅行・観光産業を取り巻く環境は「一時のどん底状態からするとかなり良くなってきたが、まだトンネルを抜けきれていない状態にある」として、「生煮えで十分に解決してないところに大きな原因があると思う」との見方を示した。

 具体的には、国内旅行では県民割、ブロック割が実施されているものの、「肝心かなめのGo Toトラベルの再開の目処が全く立っていない」として、「6月から外国人旅行者を国に入れようかという時に、Go Toトラベルを再開しないという考えは理解に苦しむ」と疑問を呈した。

 水際対策も緩和されつつあるものの、「入国者数の制限は現在2万人だが、こうした制限を設けている国は世界中どこを探してもない。こういう制限が中途半端に残っている」として、「G7並みには程遠い」と厳しく指摘した。インバウンドについても6月10日から条件付きで再開されるが、「全面再開の道筋は見えていない」とした。

 高橋JATA会長は、「こうしたことがトンネルの出口に大きく立ちはだかっている。これを越えない限り、我々ツーリズムの復活再生の道は開かれない」としたうえで、「解決するためにはどうしても国を動かさなければならない」と指摘。「我々がやるべきことは、業界が一致結束して大きな声を挙げ続けること。国会議員、メディアの力を借り、時には直訴の手段を講じて、行動し続けることが大事だ」と述べ、業界を挙げた要望活動、ロビー活動を続ける必要性を強調し、関係者に協力と連携を呼びかけた。

※写真=来賓としてあいさつした高橋広行JATA会長

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 水際緩和などで『潮目』が変わり出した

 坂口副会長、今日を潮目に業界発展を祈念  

 キックオフパーティには観光庁の高橋泰史参事官がメッセージを寄せ、「トラベル懇話会はコロナへの対応をはじめ変化の著しい内外の社会経済状況等を先取りしながら、旅行業界の経営に関わる課題解決に向けて例会等を通じて真摯に取り組んでいると承知している。このような取り組みは、観光産業の発展に大いに貢献するものと今後も期待している」とした。

 乾杯の音頭は坂口法久副会長が務めた。坂口副会長は、「皆様に言いたいのは『潮目』という言葉。コロナ禍でトラベル懇話会はJATAと協力しながらいろいろな活動を行い、企業継続のための努力をしてきたが、何をやってもなかなか思い通りにいかない数年間だったと思う。潮目が悪い時は何をやってもだめという数年間だった」とコロナ禍の厳しい環境を振り返りつつ、「ただし、何かをきっかけに潮目が変わる。自分たちの努力であったり、目標に対して、堰を切ったように潮目が変わってうまくいく場合がある。そういう意味で、規制緩和、水際対策が緩くなり、問題点は色々あるが、潮目が変わり出したのではないか」との見方を示した。

 坂口副会長は、「今日のキックオフパーティを機に、会員各社、業界全体の潮目が変わって、2019年を超える新たな旅行・観光産業が発展する、今日が潮目が変わった日として発展することを祈念する」と述べ、出席者全員で乾杯した。

※写真=乾杯の音頭を取る坂口法久副会長 https://jwing.net/t-daily/pict2022/2206/0606tm-sakaguchi-w.jpg

※写真=100名超の会員や関係者が集い『第45期キックオフパーティ』が開催された https://jwing.net/t-daily/pict2022/2206/0606tm-all2-w.jpg

 2022年度は「脱コロナ禍の突破口となる年」

 原前会長・副会長、理事定年制の見直しへ議論

 今総会まで会長を務めた原優二氏は、通常総会で2022年度の事業計画について、「本年度は脱コロナ禍の突破口となる年」として、「可能な限り2019年度と同様な形、すなわちオンラインの方が優位性を有する活動を除いて、全活動のリアル開催を基本とする」との活動方針を表明した。

 財政面では第43期に事業年度を9カ月に短縮して年会費を50%、第44期は年会費を70%に減じたが、コロナ禍で予定通りの活動ができず繰越金が500万円を越えたことから、今期も会費を70%に減じて活動を行う。また、会員の退会を極力防ぐとともに、コロナ禍で退会した会員の復帰に向けた声掛けを行い、復帰する場合には第45期の特例措置として入会金を免除する。

 理事の定年制については定款改正も視野に検討する。理事の定年制は世代交代を促す目的で2013年に導入され、定款に「任期内に68歳を迎える会員は、原則として役員に選任しない」と規定されているが、コロナ禍での退会の増加、経営環境の流動性などから、理事の経験不足や人材不足が懸念されることから、理事定年制の見直しについて幅広く議論し、必要に応じて次期総会に定款改正案を提出する。

 業界の先陣を切って今年3月に計画していたフィンランドへの海外研修旅行については「もう一度挑戦したい」として、2022年度内に実施することを計画している。また、新春講演会とともに例年開催してきた賀詞交換会は、コロナ禍で2年間中止してきたが、「来年は是非開催したい」として、2023年1月12日に新春講演会と賀詞交換会のリアル開催をめざす。

 このほか、雇用調整助成金の特例措置が9月まで延長されたことには「心から感謝したい」としつつも、海外往来が再開されれば収益が上がる前に経費がかかるという「前経後収」の現象が起きて資金繰りが悪化し、倒産の危機にさらされる企業が出ることが危惧されるとして、「雇調金の2022年度末までの延長やさらなる支援金の創設を求めたい」との考えを示した。

※写真=総会であいさつする原優二前会長(副会長に就任) https://jwing.net/t-daily/pict2022/2206/0606tm-hara-w.jpg

※写真=トラベル懇話会の総会が東京プリンスホテルで開催された https://jwing.net/t-daily/pict2022/2206/0606tm-all-w.jpg