台湾へ行こう!
今年で11回目の「日台観光サミット」が台中市で開催され、日台観光交流の次の段階を迎えた。2017年の相互交流は650万に達し、葉菊蘭台湾観光協会会長は2020年に相互交流を「900万人を視野に入れて取り組む」考えを示した。
その目標に向かって、一番重要なことは「均衡ある観光交流」である。まだ、日本のインバウンドが大きく伸びていなかった頃から、日台間はアウトとインの均衡が取れていて理想的な観光交流だった。
それが今や2017年は台湾からは約450万人、日本からは約190万人と大きな開きが生まれた。今年は700万人を超えそうだが、日本からの訪台旅行者は早期に200万人を超えたいところだ。
葉会長も「日本側にバランス良く訪台旅行需要を成長させてもらい、観光における貿易赤字を解消しなければならない」と日本側にアウトバウンド拡大の努力を求めている。
JATAアウトバウンド促進協議会(JOTC)東アジア部会の台湾送客目標人数は、2018年193万人、19年197万人、20年200万人。今年の1-5月の訪台日本旅行者数は前年同期比11.2%増の77万人。このまま推移すれば、2018年は211万人に到達する。
一方、今年1-5月の訪日台湾旅行者数も前年同期比10.5%増の205万人。2018年は497万人と500万人に近いペースで推移している。
これを合わせた2018年の日台観光交流人数は708万人と700万人を突破する。2018年はぜひとも訪台200万人、訪日500万人、合計700万人は確実に超えたいところだ。まずは、日本の課題は2020年ではなく、2018年に訪台日本人の200万人必達だろう。
そのために、何を実行するかだが、JOTC東アジア部会台湾サブ部会は、昨年選定した「世界遺産級 台湾30選」の認知度を拡大する。台湾30選のロゴマークの一般消費者へのアピールを拡大するとともに、ロゴ入りの旅行商品を各会員会社が造成する。また、台湾30選認知度向上のための東西合同ファムツアーや一般紙で台湾30選を紹介するなどを実施する計画。
さらに、今後の活動として、9月のツーリズムEXPOジャパンで、台湾30選優秀商品を表彰することを検討するとともに、台湾30選素材セミナーを開催することを計画している。
台湾の観光関係者も、「世界遺産級 台湾30選」の旅行商品化に期待を掛けている。「台湾30選」は日本に余り知られていない地方の観光地が網羅されている。台湾本島はもとより、台湾の離島も含まれている。台湾は今年を「海湾旅遊年」に制定し、10の離島の観光を促進する。
台湾も日本と同様に、観光の地方分散化、観光による地方活性化が大きなテーマとなっている。その意味で、6月14日からマンダリン航空が成田−台中線を就航したことは、地方観光促進の大きな前進となる。11月3日からは来年4月24日まで、「台中フローラ世界博覧会」が開催され、日本の旅行会社も商品造成している。
日本から台湾への旅行者の7割が台北などに集中しており、さらなる「台中フローラ世界博覧会」や「世界遺産級 台湾30選」の旅行商品拡大による観光の多様化に期待が掛かる。
また、今や日本からの修学旅行の訪問地、人数ともに台湾が第1位で、安全・安心・友好など修学旅行のための必須条件を台湾は満たしている。
訪日インバウンドだけでなく、訪台アウトバウンドもまだまだ成長市場であり、日本と台湾の人口を考えれば、訪台だけで最低700万人の市場があるということだ。日本の海外旅行市場は成熟どころか、まだまだ成長途上ではないか。
先頃のサッカーW杯ロシア大会では、台湾の日本代表への応援は熱いものがあった。台湾のテレビ局のニュースで、キャスターが日本代表ユニフォームのレプリカを着て放送していた。日本をリスペクトし、ウェルカムな台湾に行かなくて、どこに行くというのだ。(石原)