記事検索はこちらで→
2022.08.31

WING

第160回「日本が危ない」有事の内閣として何をするべきか

核使用の現実に直面

本格的な台湾侵攻を準備

 

 政治家、元自衛隊幹部らが参加した台湾シミュレーション(日本戦略研究フォーラム主催)の2回目は中国による核による恫喝を特集する。ロシア大統領、ウラジミール・プーチンがウクライナでの核の使用をチラつかせたことは、世界に衝撃を与えた。核保有国による核使用のハードルが低くなるのか注目されるなかで、東アジアでも同様の恫喝を受けた時に日本はどう対処すべきか。戦後80年近く、泰平のうえで胡坐をかいてきた日本だが、シミュレーション参加者は核使用という「現実」に直面した。
 想定されたのは2028年。2月15日、米偵察衛星が中国内陸部から数千両の軍用車両が台湾海峡沿岸部に移動している模様を捉えた。米政府は中国が本格的な台湾侵攻準備を整えていると発表。米インド太平洋軍及び台湾軍は「DEFCON3」(防衛準備態勢)を発令し、攻撃に備えた態勢を強化した。
 3月28日、中国政府は「台湾海峡、バシー海峡、与那国海峡を『排除海域』に指定する」と発表。台湾周辺に海上臨時警戒区を設定し、軍艦船を含む外国船舶の立入りを禁止した。中国軍は内陸部から警戒区を航行する目標艦に対し4発の弾道ミサイルを発射し、命中したとする動画を公表した。
 米ホワイトハウス報道官は「米軍はあらゆるレベルで即応態勢は整った」と表明した。
 中国外交部報道官は「台湾は内政上の問題であり、外国政府は介入してはならない。中国は他国を巻き込む事態を望んでおらず、その意図もない。ただし、日本政府が米軍支援や在日米軍の台湾攻撃作戦のための使用を許可すれば、中国に対する軍事行動とみなし、日本全土は軍事目標となることを免れない」と警告した。

 

台湾と日本の事態は一体
戦争に突入してしまうのか

 

 事態の緊迫化を受けて、日米首脳による緊急の電話会談が行われた。会談に先立って、日本側は中国軍が尖閣諸島や与那国島も含めた警戒区の中に機雷を敷設したとの情報をつかんでいた。

 

日本周辺の中国の海洋活動(防衛省提供)

お試し価格で全文公開中