「アメリカ好き」を 増やす取り組みに注力【Visit USA Committee Japan】
アメリカへの旅行促進、また販売を行う団体や企業で組織する「Visit USA Committee Japan」。今後の海外旅行の本格的な再開、復活に合わせ、業界内における「アメリカ好き」を増やしていくことで、アメリカ旅行商品の拡販を目指していく。会長の高橋光徳氏(ユナイテッド航空)、副会長の奥健氏(地球の歩き方)に、具体的な取り組みや今後の展開について話を伺った。
「USTP10」企画造成担当者がインフルエンサーに
facebookやニュースレターで情報発信
Visit USA Committee Japanは、アメリカ関連の観光局や旅行会社、ホテル、航空会社、アトラクション、レンタカーなど現在約40団体、企業が加盟。「多岐にわたりアメリカを販促する団体」(高橋氏)として、BtoBメインに活動を行う。
そのひとつが、2013年よりスタートした「USTP10」という取り組み。アメリカ旅行商品に携わる旅行会社の企画造成責任者や担当者を10名任命し、「インフルエンサーとなってアメリカの良さを広げてもらおう」というもの。現在、活動は一時ストップしているが、今後は再開へ向け準備を進めていく。
コロナ禍においても「アメリカのファン」づくりに力を入れてきた。2021年5月には「アメリカ大好きグループ」としてfacebookを開設。また月1~2回のニュースレターを配信、登録者数は2500名にのぼる。
2025年訪米者500万人目標
需要回復して「来るべき時」に達成へ
コロナ前の2019年6月に、カリフォルニア州のアナハイムで開催されたアメリカのトラベルトレードショー「IPW」の場において、日米の観光関連トップが集まり開催された「日米観光合同ミーティング」。ここでは、2025年での訪米者500万人達成という将来的な目標が示された。
2019年の日本からアメリカへの訪問者数は、375万人。高橋氏は「本来であれば、2020年の羽田空港における国際線発着枠の拡大や、東京オリンピック/パラリンピックによる双方向交流の拡大で夢ではない数字だった」と語る。
結果として新型コロナウイルスにより海外旅行がほぼストップ。現在、少しずつ復活、再開するなか、目標達成は厳しい状況となってしまったが、高橋氏は「しっかりと旅行需要を取り戻せば、来るべき時に目標を目指せるのではないか」と前向きだ。
日本のプレゼンスの低さに危機感
コロナからの回復も「周回遅れ」
前向きな姿勢を見せる一方で、懸念事項もある。アメリカにおける日本のプレゼンスの低下だ。高橋氏は「アメリカのサプライヤーにとって日本は成熟したマーケットという認識。とても重要なマーケットであるという位置づけだが、IPWで日本からの参加者が少なくなり、日本のプレゼンスが小さくなっている」と指摘する。
(表1)での中国、韓国との比較においても、日本は2019年で375万人がアメリカへ訪問、国別では4位、消費額では6位だが、2013年比では訪問者数はわずかに減少。対して中国は150%、韓国は159%と勢いがある。消費額については中国が国別で1位とトップ。訪問者数では5位、韓国は6位と、日本に次ぐ位置にある。
また、コロナからの回復においても「日本は周回遅れの状況」だという。「既に現地では、ヨーロッパや中南米からの観光客でいっぱい。コロナ前よりも伸びているマーケットもある。日本が注目されなくなるのではないか、という危機を感じている」と語る。
こうした状況を受け、「早期に日本政府が入国制限をさらに緩和し、日米間の往来が戻るよう関連団体とともに働きかけをしていきたい。そして、潮目が変わった段階ですぐにスタートできる態勢づくりに努めたい」という。
ブランドUSAとの共催で東名阪セミナー
アメリカ全体への旅行促進に注力
今後はブランドUSAと共同で、東名阪においてセミナーを開催する予定で、「日本全国へ向けたアメリカのファン拡大」(高橋氏)を目指す。その中で高橋氏が注力したいのが「アメリカ全体」の販促だ。
2019年の日本からアメリカへの渡航者数は375万人で、目的地別で見るとハワイが全体の46%、グアムが19%で、2つで全体の2/3を占める。残り1/3がアメリカ本土への渡航者となるが、なかでもカリフォルニア州がアメリカ全体の15%、ニューヨーク州が7%で、両州でアメリカ本土への渡航者の2/3を占める(表1参照)。
高橋氏は「カリフォルニアやニューヨークは確かに売れ筋ではあるが、アメリカにはもっとたくさんの素材がある」と指摘。さらに「いかに業界パートナーの協力を得て訴求していくか。売れ筋はきちんと売りつつ、ポテンシャルの高いデスティネーションの販売を促進していきたい」と意欲を見せる。
またデジタル化が進むことで、これまで売れ筋中心だった紙のパンフレットから、「デジタルではより幅広くアメリカ商品を販売できるチャンスがある」という期待も。
さらに今後は羽田からのフライト再開も進む。アジア―北米間の乗り継ぎ需要の成田と比べ、日本発の需要が中心となる羽田。高橋氏は「利便性の高い羽田便の促進をはかり、関東圏以外の地域からのマーケット拡大に注力したい」と期待を寄せる。
高橋氏は、「我々はアメリカの売れる素材を提供するプロ集団。もっと我々のリソースを活用して頂きたい。積極的に利用して頂くことで、将来的に500万人の目標達成を目指してきたい」と呼びかけた。
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