旅行会社レポート その1【HIS】
安心安全を基本に旅のワクワク感を強調
観光局公認「マラマハワイツアー」を造成
消費者には慎重姿勢も残る
海外パッケージツアー再開に際して真っ先に販売を開始したのがハワイ方面。当初は帰国要件の厳しさもあり、ヘビーリピーターか富裕層が中心で、比較的高額のホテルで長めに滞在する需要が中心だった。少しずつ伸びてきた需要だったが昨夏のコロナ感染拡大で鈍化したが、ここへきて再び伸び始め、客層もカップルや女性同士など以前の主力客層が増えている。
滞在日数と商品価格は、コロナ前の平均滞在が3泊で6~7万円台からの料金設定だったが、現在は4泊で燃油サーチャージの高騰を受け14~15万円台からの設定となっている。
これまでハワイ旅行にいくつもの障壁が立ちふさがって来た。出発前と帰国前のPCR検査がなくなっても日本の入国者数の制限があり航空便の供給座席数が限られた。その後、入国者数制限もなくなったと思ったら、今度はインバウンドの増加でアウトバウンド用の座席供給が十分には増えず、さらに燃油サーチャージの高騰や円安の逆風も吹いている。
コロナに対する市場の警戒心も解けていない。すでに出張で海外の状況を見ている立場からすると、個人的にも旅行会社的にもコロナへの過度な警戒は必要ないのかとも感じていた。しかし独自調査を行ったところ一般消費者は想像以上に慎重だ。現地でのPCR検査が不要になり帰国便に搭乗できなくなるリスクが減ったものの、現地での感染に対する警戒が解かれていないのが実態だ。全国旅行支援開始の影響については、国内旅行に需要が流れる懸念はあったが想定ほど影響はなかった。
物価高対策で
食事付き商品も設定
本年度(2022年11月~2023年10月)以降の商品造成においても安心安全を担保する取り組みを重視する基本方針は変わらない。現地支店における24時間の日本語対応など必要なサービスを継続する。一方で旅が本来持つ魅力であるワクワク感のある要素を強化することを考えており、コンテンツ開発に取り組んでいる。 また試みのひとつとして昨年9月からオンラインブリーフィングを開始。現地で行ってきた説明やオリエンテーションを出発前にオンラインで実施するもので、現地支店と生中継でつなぎ、オプショナルツアーやお勧めレストラン、現地最新情報なども紹介し、旅行前からワクワク感を提供している。
物価高対策として、滞在中の食事付きプランも商品化。ポキ丼やロコモコ、ステーキなど人気のメニューをクーポン形式で楽しむことができ、ツアー参加者の食費の節約にもつながる。
ツアー参加者のワイキキでの交通手段の確保も強化する。これまでは混乗型のワイキキトロリーを提供していたが、昨年11月1日からは当社が独自運行するレア レアトロリーのショッピグライン(ワイキキとアラモアナ間のルート)と、マラマライン(ワイキキから、ダウンタウンや郊外の文化遺産や歴史的建造物をめぐるルート)の2ラインの運行を開始した。
レアレアトロリーで
マラマラインを運行
エイチ・アイ・エスは昨年9月にハワイ州観光局と「マラマハワイ」推進に向けたパートナーシップ協定覚書を締結した。マラマハワイはハワイ観光の持続的な発展に欠かせない考え方であり旅行会社として協力していくのは当然だ。マラマハワイの考え方を市場に伝え、その精神を反映した旅行商品を造成することは、OTAや航空会社の直販ではなかなか実現できない。その点、店舗を持ち直接旅行者に触れ合える当社には強みがあり、存在意義を高める機会にもつながるだけに、難しい面もあるがやりがいがある。
覚書に基づく商品「ハワイ州観光局公認マラマハワイツアー」では、たとえばイオラニ宮殿見学など、比較的ライトな内容の素材を組み込んだ。まずはマラマハワイのスピリッツを観光客に知ってもらい、ハワイでの新たな過ごし方を提案するのが目的だ。
レアレアトロリーではマラマラインも運行しており、マラマハワイツアー以外の当社ツアーに参加するすべての旅行者も利用でき、手軽に文化遺産や歴史的建造物を訪問できる。これとは別にマラマハワイ関連イベントにオプショナル参加する旅行者のため、開催場所と開催日に合わせてマラマシャトルを運行し、イベントへの参加促進を図る。 「レアレア旅ナカアプリ」を利用して、交通機関を使わずに歩いて移 動すると距離に応じてホテルでの朝食などのギフトを提供する「レアレア・エコウォーク」も実施している。今後もマラマハワイの精神に沿った商品開発に積極的に取り組んでいく方針だ。