旅行会社レポート その2【JTB】
デジタルを活用したサポート体制を強化
新たなプロモーションを実施
より安心安全な
ラグジュアリーホテルが人気傾向
2022年4月にハワイ方面のツアーを再開して以降、徐々に販売動向は上向いていたものの全国旅行支援の発表以降、一時的に国内旅行に注目が集中した。そのため、全国旅行支援への集中が落ち着くと思われる11月中旬以降から、ハワイを含む海外各方面のプロモーションを実施。ハワイについてはキャンペーンや販促動画配信なども行い、さらなる販売強化につなげたい。
現在のハワイ旅行の参加者は40代以上の夫婦・カップルと、就学年齢を超えた子供を含む大人家族、3世代家族、母・娘が中心で、海外旅行待機組だったハネムーンやウェディング需要にも動きが出ている。
売れ筋の価格帯は、2019年以前は20万円台だった。しかし現在はホテル仕入価格や燃油サーチャージの上昇等の影響で商品価格が上昇。その結果、40万円を超えるラグジュアリー商品の価格帯での申し込みが伸びている。泊数は2019年以前と変わらない6日間の商品が中心となり、平均滞在日数は4.3泊になっている。
新アプリを活用した
新たな過ごし方を提案
旅行者の安心安全や現地の最新状況への関心は高い。そのためハワイ旅行相談専門の「JTBリモートコンシェルジュ ハワイ専門デスク」を9月22日に開設。ハワイ旅行の販売経験豊富なJTB海外エキスパート(*)が対応する。加えて現地ハワイのスタッフをオンラインでつなぎ、最新情報を提供する「JTB ALOHAコンシェルジュ」サービスを期間限定で実施。
(*)JTB海外エキスパート:2022年4月よりスタートしたJTBの新たな人財育成制度。ハワイ、ヨーロッパ、カナダ方面のエキスパート社員を全国から165名選出。ウィズコロナ時代に必要な海外スキルを取得し、安心して渡航できるよう顧客サポートを行っている。
ダイナミックパッケージの「JTB MySTYLE」が主力商品だが、販売がウェブで完結するケースよりも、ウェブで検索、選択して店舗で予約する、いわゆるOMO型のパターンが多くを占める。安心安全やホテル内容の詳細に関する相談も多く、店舗で確認した上での申し込みを選ぶ客層が多いようだ。
ツアー参加者の利便性向上のため開発した「オリオリハワイアプリ」が7月から稼働し、スケジュール確認からオプショナルツアーの予約・精算、レストラン予約等がアプリ上でできる環境を整備。アプリ通話機能も搭載し、24時間日本語対応の「オリオリインフォメーション センター」といつでも無料で通話できる(通信料は利用者負担)。
ホテルに関する試みとしては、アプリのモバイル機能を使ったチェックイン/アウトのサービスを2023年4月以降開始する。混雑する時間 帯の手続きも待たずに済ませられる。対応するのは、現在「アロヒラニ・リゾート・ワイキキ・ビーチ」のみだが、今後は準備が整い次第対応ホテルを拡大していく方針だ。
「マラマハワイ」の理解を社内から
ハワイの観光産業界が目指す「マラマハワイ」の方向性をJTBは重視している。これまでもSDGsの取り組みを行ってきているが、グループとして環境負荷削減に取り組むサステナビリティ戦略を定め、さらに理解と浸透を強化していく考えだ。まずは「マラマハワイ」についての社内理解を高めるため、11月に店舗中堅スタッフを中心に14名が参加したハワイ現地研修を実施した。
また、観光の効果によってもたらされた利益を地域へ還元する例として、1995年にJTBを中心に立ち上げたホノルルフェスティバル(主催・ホノルルフェスティバル財団)が、現在の「マラマハワイ」につながる取り組みだ。今年3月に4年ぶり27回目の開催が決定。今回初めて主会場に「マラマハワイブース」を設け、SDGsに取り組む日本企業が協賛出展する。
昨年末に「Hi Bus」再開
電気バスで環境負荷削減図る
一方、商品面では、ワイキキの移動手段として2019年に導入した電気バス「Hi Bus」の運行を昨年末から再開。トロリー型「Hi Bus」も再開し、徐々に運行頻度を高めていく予定だが、電気バスの活用で環境負荷の削減を図る。
個人旅行市場では、特に「マラマハワイ」の発想をビジネスに馴染ませるには時間が必要だろう。ただし長期的視点では旅行市場の健全な成長につながるのは間違いない。ハワイのサプライヤーにも本音と建前が存在するが、本音を擦り合わせ「マラマハワイ」の前進に寄与するのは観光地がサステナブルであることを誰よりも重視する旅行会社の使命でもある。
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Mālama Hawaiʻi BOOK 誕生」