ハワイ州観光局(HTJ) インタビュー2
旅行会社へ向けて
サテライトオフィスの質の向上
社内で育成「マラマハワイトレーナー」
旅行会社に向けた施策としては、前述の「ハワイサテライトオフィス」の「見直しと質の向上」を進める。現在の393店舗を、今後は400店舗を目標に各店舗の精査、必要に応じて改善、削減を行うなど取り組みを進める。寺本氏は「ハワイへ行きたいという機運を盛り上げるため、『マラマハワイ』を軸に全国のサテライトオフィスと連携して取り組んでいきたい」と抱負を語る。
またサテライトオフィスは、日本国内だけでなく、現地ハワイにもあることから、「旅行者にメリット、高付加価値が提供できるよう、現地サテライトオフィスにおけるプログラム構築を目指す」考え。日本とハワイの双方向から情報を発信していくことで、「コンテンツの共有、協業プロモーションの積極展開を図っていきたい」と協業による効果の最大化を狙う。
旅行商品を造成、販売する旅行会社への教育も重要な課題。「マラマハワイ」を浸透させるため、「オンライン、業界メディアによる企画などを通じ、さらに教育、拡散を図りたい」と力を入れる。また旅行会社が行う自主研修プログラムへのサポートも行っていく。
さらに旅行会社の中でハワイのトレーナーを育成する「マラマハワイトレーナー」プログラムを推進。ハワイのスペシャリストであるアロハプログラムの上級取得者が観光局の戦略を共有し、自ら社員教育を行うもの。「観光局だけではカバーしきれない部分を旅行会社の中でやって頂くために、システム構築を図りたい」という。
双方向交流
7月に姉妹都市サミット
「双方向交流が重要」
現地ハワイでは、今年7月にホノルルで日米協会主催の「ハワイ姉妹都市サミット」が開かれる予定だ。現在、ハワイ州と日本の間には31の姉妹提携がある。ヴァーレイ氏は「教育やビジネスなど、新たな双方向交流の流れが生まれる」と期待する。
観光局では、引き続き姉妹都市の連携に注力、双方向交流の活性化に努める姿勢。「ハワイの人たちにもっと直行便があるところや姉妹都市に行ってもらうこともひとつの施策。双方向交流が一番持続する。お互いの関係を確立していくことが日本マーケットにおける一番長期的なやり方だと思う」と、双方向交流の意義、重要性を強調する。
現地ハワイでの取り組み
現地での日本マーケットの存在感を上げる
日本とハワイをつなぐ「橋渡し」に
観光局として、現地ハワイで日本マーケットの存在感を上げる取り組みも重要。特に現在、日本からの訪問者はまだ十分に戻っていない状況。ヴァーレイ氏は「オーストラリアや韓国、カナダのマーケットが急速に戻るなか、日本は国際マーケットのなかで一番遅れている」と指摘。好調なマーケットに向いた現地サプライヤーをいかに日本市場に向かせるかが大きな課題となっている。
そのためにも「日本マーケットの大切さ、日本マーケットの客層の良さ、消費高の高さ」をしっかりと現地パートナーに伝えることが必要となる。「日本マーケットのポジショニングをしっかり守る。そうすることで、日本マーケットのために日本語のサービスやプロダクトを作ってもらったり、日本人または日本語ができるスタッフを採用してもらったり、日本語のパンフレットを作ってもらったり、現地でのエネルギー投下がコロナ前より増えている」と語る。
なかでも日本マーケットをまだよく知らないパートナー、隣島の観光局、地元コミュニティーへのアプローチなど、観光局が果たす役割は大きい。「マラマハワイ」の商品造成においても、「地元コミュニティーとの対話がより大切。観光局として、日本とハワイをつなぐ『橋渡し』ができるよう取り組んでいきたい」と意欲を示す。
教育旅行、MICE
教育関係者への研修旅行を実施
MCIは「Meet Hawaii」と連携
教育旅行においては、昨年12月中旬に大阪で米国総領事館との協業のもと教育関係者を集めたセミナーを実施。また3月には教育関係者向けのハワイ研修を予定する。パートナーである米国総領事館と航空会社、現地マーケティングパートナー、NPO団体と連携しながら教育関係者への研修を進めていく意向だ。
一方、MCI(Meetings, conventions and incentives)案件については、昨年4月より「Meet Hawaii(ミートハワイ)」がカバー、観光局として同組織と連携を図りながら取り組んでいく。
Meet Hawaii
改めてハワイMCIの魅力を訴求
「マラマハワイ」に絡めた提案も
昨年4月より、ハワイにおけるMCIを担う「Meet Hawaii(ミートハワイ)」が日本マーケットでの活動をスタート。ハワイ州観光局と連携しながらハワイへの 蜂谷浩之氏MCI誘致に努めている。日本マーケット担当ディレクターを務める蜂谷浩之氏に今後の展開について話を伺った。
オンライン/対面の両面でアプローチ
ジャパンサミットに団体旅行担当スタッフ招へい
コロナ禍における旅行会社の組織変更に伴い、蜂谷氏は旅行会社へ向けた営業をさらに強化していく方針。蜂谷氏は「定期的なウェビナー、または対面の両面で、団体向けの情報等を紹介し、ハワイへ団体を送客したことのない団体営業スタッフでも、自信を持って、積極的にハワイへ団体セールスをしていただけるようにしたい」と語る。
ハワイ州観光局(HTJ)との連携においては、昨年6月の「ジャパンサミット」に団体旅行担当スタッフも招へい。今年についても、「引き続きHTJとのコラボレーションを通じ、団体旅行担当スタッフも招いていく」と語る。また、団体旅行向けの研修旅行も予定する。
SDGs、CSRの観点から「マラマハワイ」を提案
「ハワイに決定、リピートして頂ける」サポート
またハワイ州で進める「マラマハワイ」の取り組みにおいては、「SDGs(持続可能な開発目標)やCSR(企業の社会的責任)の観点から企業側の意識は高い」と指摘。「ただの遊び、観光ではなく、ハワイで何か貢献したい、と求めている企業に対して、プラスαの提案をしていく」考え。例えば、観光に植樹や歴史、文化の体験など、顧客である企業やオーガナイザーの要望に合わせてプログラムを作り、提案する。
さらに旅行会社と一緒に、企業やオーガナイザーへのアプローチも進めていく。「ハワイでの開催を決めていただくための団体案件に応じたサポート、さらにリピートして頂ける流れを作っていきたい」という。
ハワイコンベンションセンターの認知度アップも
他デスティネーションにはない強みを強調
Meet Hawaiiが管轄するハワイコンベンションセンター(HCC)の認知度アップも大きな施策のひとつ。HCCは、ハワイ最大のコンベンション施設として、 3000人規模の大型団体から中小規模の団体まで幅広く対応。リゾート感あふれるル ーフトップや、ボールルームでさまざまな演出、アレンジが可能だ。蜂谷氏は「まずは使い勝手を知ってもらい、認知度をアップさせたい」とアピールする。
ハワイはMCIの目的地として「コロナ前から変わらない」人気デスティネーシ ョン。蜂谷氏はアクセスや気候、文化、日本語対応可能なホテルや施設の充実度、これまで培われてきたノウハウなど、「他のデスティネーションにはない魅力があり、その点を改めて強調していきたい」と語る。
ハワイMCIの現況について、蜂谷氏は、「水際対策の緩和に伴い、徐々に問い合わせが増えている」と説明。例えば、「コロナ前に毎年数千人規模でリピートしていた複数の大型団体が今年からの再開を検討している」とのことで、良い兆しを見せており、一連の活動を通じ、MCI需要の拡大を狙う。