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2018.10.19

WING

非航空系収入で成田空港支えるNAAリテイリング

訪日拡大で好業績、4-8月売上は前年比1.2倍以上
 
 成田空港にFa-So-La SHOPSを展開し、非航空系事業収入の多くを稼ぎ出し、成田空港の運営を下支えするNAAリテイリング。空港運営にとって非航空系事業収入は大きな柱となっており、成田空港にとっても例外ではない。日本屈指の大ショッピングモールともいえる成田空港でリテール事業を展開するNAAリテイリングの陣頭指揮を執る神崎俊明社長(※崎の字は山編に立・可)が本紙の取材に応じて、今年度の経営成績について「4月から8月までの状況をみると、昨年度対比で非常に良い」ことに言及。「売上は1.2倍以上伸びている」と、大幅な増収を確保していることを明らかにした。神崎社長は「少しずつ客単価が回復してきている」との認識を示しつつ、「当社としても店舗をできるだけ増やしていることも、1.2倍以上の売上増加に繋がっている」との見方を示した。
 好調な業績に勢いにのる同社だが、神崎社長は「2020年は試練の年になるだろう」と兜の緒を締めている。それというのも、2020年は羽田空港の国際線が最大で年間約3.9万回増えるためだ。
 多くの訪日客を迎え入れることになるであろう成田空港、そしてNAAリテイリングにとっても、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会開催というビッグイベントは、恐らく大きなチャンスだろう。ただ、神崎社長は「オリンピック・パラリンピック大会そのものは非常に短期勝負。仮に特需があっても短期決戦の話」とし、むしろ羽田国際線増枠がもたらす影響を懸念している。
 「羽田空港が国際線を増枠することになり、旺盛な首都圏の航空需要が右肩上がりに続いたとしても、確実に成田空港のトラフィックにマイナスの影響が出るはず。そうすると当社も大きな試練をどう乗り切るかということを考えていかなければならない」と、危機感をみせた。
 そのため「会社そのものの体質を強化することのほか、そのような時でも魅力ある、陳腐化しない店舗展開にも取り組んでいく必要がある」とし、「一度は羽田国際線増枠のタイミングで淀んでしまうかもしれないが、中長期的に航空需要を鑑みれば間違いなく伸びていく。羽田国際線増枠によって風邪をひかないように、会社そのものを堅牢な筋肉質の体にしていくことが、私の一番の課題だ」と話し、神崎社長の大きなミッションとして、好調な今だからこそ会社体質を一層強靭な筋肉質なものへと作り上げていくことを掲げた。

※写真=NAAリテイリングの神崎社長。旺盛な訪日需要でリテール事業は好調だ

※画像=羽田国際線増枠はNAAリテイリングにとっては試練か(提供:NAAリテイリング)