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2023.03.22

出張におけるテクノロジーについての考察 ①【アメリカンエキスプレス グローバルビジネストラベル│日本旅行(GBT NTA)】

アメリカンエキスプレス グローバルビジネストラベル│日本旅行
(GBT NTA)マルコ・ペリッツアー

 

 コロナ禍で中断していた出張が再開し、対面での交流が増えつつある中、出張を再開するための革新的な方法を求める声が大きくなりつつあります。世界中の企業が、スマートで効率的、そしてサステナブルな旅を実現するために、これまで以上に決意を固めています。
 1850年代に飛行機用のプロペラが発明されて以来、旅行とテクノロジーは密接に関係してきました。人々は旅行をより簡単に、より安全に、より安価にすることを追求しています。
 テクノロジーは、旅行を一部のエリート層のための複雑なプロセスから、誰もが効率的に利用できるシステムへと変化させてきました。
 GBT NTAの顧客企業のトラベルマネジャー(出張管理者)が、過去20数年間にクライアントのサポートがどのように変化したかを振り返って以下のように述べています。

 

「出張は、私たちのビジネスライフに欠かせないものとなっています。出張者にとっては、出張の手配は以前より簡単で、より速く、より効率的になりました。しかし、出張管理者にとっては、さまざまな課題を同時に解決しなければならず、出張管理の複雑さが増しています。出張プログラムを効果的に管理し、企業が出張管理者に与える様々な課題を解決するためには、技術<の進歩が欠かせません。同時に、新しいテクノロジーは混乱を引き起こす可能性もあることも覚えておく必要があります」

 

 私は30年近く仕事で世界中を飛び回ってきましたが、私は元々さまざまな場所でたくさんの人と出会うことが好きで、旅行業界で働くことをとても楽しみにしていたのを覚えています。1990年代は、誰もが広範囲に旅行ができるわけではなく、仕事で海外に行ける人はごくわずかでした。現在は業務の一環として出張する人が多くなっています。2019年には1.4兆ドル(140兆円)以上の金額が海外出張に支出され、過去10年間で1.5倍以上の増加となっています。これは、技術の進歩が大きな原動力となっているためだと思います。旅行がより身近になり、需要が生まれたのです。

 ここでは、私が目撃した重要な進歩のいくつかを振り返ってみたいと思います。
 私が出張の仕事を始めたころは、出張者や秘書が企業の出張担当者に電話やファックス、あるいは直接出向いて航空券やホテルの予約をしていました。当時はオンサイト、つまり旅行会社のサテライトオフィスがお客様のオフィス内にあるのが普通でした。
 また、電話やファックス、あるいは直接ご来社いただいての接客が中心でした。このような直接の接点は、出張者や出張手配者と私たちトラベルカウンセラーとの間に強い絆を生み出しました。顧客サービスの観点からは良いのですが、時間がかかり、非効率的であることは否めません。
 旅行会社の運営方法を変えた大きな技術革新のひとつが、Eチケットの導入でした。これは、旅行者に物理的なチケットを送る必要がなくなったことを意味します。
 同時に、出張者の間でEメールがますます普及するようになりました。顧客との接し方が変わったのですから、顧客サービスの観点からは、これが最も大きな変化だったでしょう。音声によるコミュニケーションは大幅に減少し、すぐにメールに取って代わられました。
 旅行会社視点での最も大きな変化は、グローバルディストリビューションシステム(GDS)、そして最近ではオンライン予約ツール(OBT)の進歩で、出張者自身が予約できるようになったことでしょう。
 これらの進歩がもたらした変化は、複合的な効果をもたらしています。出張者と旅行会社にとって予約プロセスが簡便になりました。さらに、より重要なこととして、定型業務の自動化により、トラベルカウンセラーは独自の旅行専門知識とスキルを駆使して、複雑な旅程のサポート、より良い運賃やホテルの手配が可能となり、最終的にサービスの向上につながりました。現在では、ホテルが環境に優しいかどうか、飛行機による二酸化炭素排出量、予約が会社の出張規程に準拠しているかどうかなどを表示する技術もあります。テクノロジーの進歩により、ビジネストラベルはより身近に、より簡単に、より忙しくなりました。

 

パンデミックにおけるテクノロジーの活用

 最近のコロナ禍においては、双方向通信ソリューションによって、出発前から出張中、到着後まで出張全体を通じて出張者とつながることができるという、出張におけるテクノロジーの重要な役割をさらに浮き彫りにしました。
 自動承認フローでは、あらかじめ設定された出張承認者に通知を送ることができます。出張先の地理的なゾーン、出張日、理由コード(規程違反の予約が必要な場合に入力する規程違反の理由)、職務プロファイルなど、さまざまな条件に応じて、出張依頼は自動的に承認、却下が可能で、トラベルカウンセラーへの転送もできます。
 2022年に世界各地で行われた出張管理者700人への調査では、回答者の全員が、企業の出張規程が1年以内に変更されることを予想していました。最も多く挙げられたのは規程、潜在的な出張リスクに関するリアルタイムの更新とアラートに関する項目でした(54%)。
 出張管理者は、出張の計画や予約、出発前、移動中といったあらゆる段階で情報を提供することで、出張者に安心感を与えることができるようになりました。出張先でもサポートされていると感じることで、出張者の安心感を高め、満足感を向上させることができます。
 このようなコミュニケーション手段は、モバイルアプリへのプッシュ通知、オンライン予約ツールのメッセージ、会社のソーシャルプラットフォーム、ウェブチャット、WhatsApp、SMS、Eメールなどが含まれます。
 出張者との情報や認識の共有、リアルタイムの最新情報を提供することは重要ですが、効果的なのは双方向のコミュニケーションであることも忘れてはいけません。出張者は、誰かに質問をしたり、サポートを依頼したり、アドバイスを受けることで安心感を得られますし、出張者の経験をフィードバックすることで、出張管理者は実際の声に耳を傾け、必要な対応することができます。
 出張者は以前からタッチレス決済や生体認証を利用していたかもしれませんが、パンデミックによりいくつかの新しいトレンドを加速させ、今ではこうした便利なものはどこにでもあるものとなりました。
 同時に、新たな目的も発見されました。ブロックチェーンは、活気のある健全な
SAF(サステナブル航空燃料)産業の誕生を促進するでしょうし、AIは近い将来、出張中に起こりえる混乱を予測し、実際に起こる前に解決することができるようになると考えられます。
 では、どのようなことについて期待し、また過度な期待をしないようにすれば良
いのでしょうか。ここでは、出張に関連した最新テクノロジーの今後の進展に関する考察と、新しいテクノロジーを導入検討する際のヒントをご紹介します。

 

 

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