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2023.04.11

WING

高速化する脅威への対応に開発プロセス改善必須

 中国の実戦配備は約7年、DXでスピード感重視

 

 北米でエンジニアリングシミュレーション技術を提供する「Ansys(アンシス)」の航空宇宙・防衛部門CTOであり、元米空軍准将のスティーブ・ブレイマイアー氏は来日の際、メディア向けに航空宇宙・防衛分野の防衛装備品開発のトレンドについて説明し、日本周辺の安全保障環境の中で特に重要になるのがプランニングから実戦配備に至るまでのスピード感だと強調した。
 ブレイマイアーCTOは、要求性能の高度化などによって開発するシステムが複雑化するなど「従来の手法ではコスト面で見合わなくなっている」とし、さらにインド太平洋周辺では、脅威となる技術の進展が「極めて高速化している」ことを挙げ、環境に対応していくためにも、開発プロセス自体を高速化し、コスト低減へ向けた変革を常に追求していく必要があるとした。
 「アンシス」では顧客のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するシミュレーション技術の発展に取り組んでおり、DX実現のために解決するべき課題の要求に十分 応えていけるという。DXを実現する前には、モデリングアンドシミュレーション(M&S)、デジタルエンジニアリング(DE)があり、M&Sの活用では物理的に試作などを減らすことができる。DEでは、M&Sを連接して共同活用することで、さらなる効率化を図れるとし、DXになればライフサイクル全体を接続し、追跡可能なエコシステムを構築していけるとした。現在、米国では防衛分野の開発環境において、目指すべき方向へ確実に歩を進めているとし、日本でもすでにテクノロジーの下地が整えられているため、米国のノウハウを活かしたDXを推進できるとした。しかしそのためには様々な課題を解決していかなければいけない。まずはDEによって開発環境の機動性・俊敏性を得ていくことが重要になるとした。

 

※写真=DE、DXについてプレゼンするアンシスのブレイマイアーCTO