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2023.06.14

WING

第178回「日本が危ない」25条残す海保統制で守り切れるか

先島諸島囲む中国の奇行
広島サミットへの当てつけか

 

 世界の注目が広島に集まっていた時、沖縄県の先島諸島周辺では中国海軍の艦艇が「極めて異例の行動」(防衛省統合幕僚監部)を展開していた。中国は先進7ヵ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳声明に対しても駐中国大使、垂秀夫を呼び出して抗議するなど反発のトーンを高めている。日本政府も海上保安庁を有事の際には防衛相の指揮下に組み込む統制要領を初めて策定するなど、急ピッチで対応策を講じているが、どこまで効果を発するかが問われている。
 統合幕僚監部の発表によると、海上自衛隊は16日未明、宮古島の北東120キロの海域を北西に進む中国海軍ドンディアオ級情報収集艦1隻を確認した。同艦艇は沖縄本島と宮古島の間の海域を東シナ海に向けて航行した。
 午前9時ごろには、与那国島の南東50キロの海域を北西に進むルーヤンIII級ミサイル駆逐艦2隻および、フチ級補給艦1隻の計3隻を確認した。
 さらに午後7時ごろには宮古島の北東110キロの海域を北西に進むレンハイ級ミサイル駆逐艦1隻と、ジャンカイII級フリゲート艦1隻を確認した。この2隻は、与那国の周辺海域を航行していた3隻と合流し、久米島の西約80キロの海域を東シナ海に向けて北西に進んだ。
 統合幕僚監部によると、中国海軍の艦艇がこのように二手に分かれて先島諸島を囲むように航行するのを確認したのは初めて。これが「極めて異例の行動」であり、G7に対して中国海軍の軍事的プレゼンスを示す狙いがあったとみている。

 

G7共同声明に怒りの中国
抗議も駐中国大使は反論

 

 20日には、尖閣諸島(石垣市)沖で中国海警局の「海警」2隻が日本の領海に侵入し、日本漁船に接近する動きを見せたため、海上保安庁の巡視船が「海警」に対して警告を行った。

 

海保のMQ-9B運用は海自との協力に大きな意義を持つ(提供:GA-ASI)

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