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2023.09.01

WING

ヒックス米国防副長官、「気候変動は安全保障問題」

 対応する人員日数、5年間で12倍に急増

 

 米国防省のキャスリーン・ヒックス国防副長官は8月30日(現地時間)、ウェストポイントの士官候補生を前に、気候変動問題に言及した。その時、カテゴリー3のハリケーン「アイダリア」がフロリダに上陸していた。
 ヒックス副長官は、世界規模で数々の気候変動に起因した大規模自然災害の発生に言及。「私がよく耳にする質問は、『なぜ国防総省が気候変動に関心を持つのか』というもの。その答えは簡単。気候変動は国家安全保障上の問題であり、国家安全保障コミュニティにとって、その宣言は議論の余地がないからだ」と説明した。
 米国防総省は気候変動問題を理解し、変化する環境の中で活動しながら、それに対抗するために国防総省がなすべきことを理解することに努めてきたという。
「訓練施設が浸水すれば、同盟国やパートナーとの統合作戦訓練を展開することが困難になる。干ばつで水がなければ施設を運営できないし、自然災害への対応に軍が手一杯では、将来の脅威に十分備えることもできない」ことに触れた。
 さらに、「自然災害への対応で、多くのマンパワーを消耗する。ハリケーン・アイダリアに対しては、フロリダ州ではすでに5500名もの州兵が待機している。嵐がジョージア州やサウスカロライナ州に移動するに連れ、その数は増えるだろう」とコメント。その上で、「ハリケーンだけではない。州兵が消火活動など自然災害に費やした人員日数は、2016会計年度の1万4000日から2021会計年度には17万6000日に拡大した。わずか5年で12倍以上に膨れ上がった」ことを明かし、大規模災害への対応で軍として多大な時間と労力などを割かれているとの認識を示した。

 

※写真=2018年10月10日の「ハリケーン・マイケル」後のフロリダ州ティンダル空軍基地。ハンガーの残骸が散乱。ハリケーン・マイケルは米国に上陸したハリケーンの中で3番目に大きく、ピーク時の風速は時速155マイルに達した(提供:米国防省)

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