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2023.09.20

WING

DLR、長期的に低高度・低速飛行可能な機体設計も

 低高度・低速飛行で環境負荷影響減

 ドイツ航空宇宙センター(DLR)は、飛行高度と飛行速度のわずかな変化、さらにはエネルギー源の選択によって、気候への影響を大幅に低減することができるとの研究結果を明らかにした。その上で、より低高度を飛行する新たな長距離飛行用の機体設計が、長期的には必要になるだろうとの見解を明らかにしたほか、現在、短中距離線への投入に向けて開発が進められている水素旅客機だが、液体水素が長距離線の運航にも有望である可能性を示唆した。
 長距離線の年間旅客輸送量は、全体旅客数のわずか10%程度に過ぎない。それにも係わらず、航空機から発生するCO2の40%を排出していると言われる。無論、これは飛行距離および飛行時間が短距離線などに比べて長いことに起因する。
 DLRの研究者は、「KuuL 」(Klimafreundlicher ultra-effizienter Langstreckenflug:気候にやさしい超高効率長距離飛行)プロジェクトに取り組んできた。同プロジェクトでは、計算の中で、ケロシン、持続可能な航空燃料(SAF)、液体水素(LH2)を比較し、飛行高度と速度をわずかに低下させた上で、これらのエネルギーを活用できる航空機の設計を開発した。
 その上で100年間の平均的な地上大気データを用いて、それぞれのケースにおける気候への影響、つまり排出ガスが気候変動に与える影響を比較。設計した機体を年間3000回の長距離フライトを実施し、運航期間を23年間に設定してシミュレーションした。

※この記事の概要
高度を2000m下げれば気候影響を最大70%減
費用対効果か気候変動対策か、妥協点見出す必要
液体水素は長距離便にも有望
将来はSAFを代替する可能性   など