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2023.09.27

WING

住友商事、AM技術の浸透で航空・宇宙の発展へ

 AMで摩擦攪拌接合を実現、鍛造・鋳造品と同性能に

 

 住友商事の航空・宇宙分野や防衛産業に取り組む航空宇宙事業部の上野智規部長は、アディティブ・マニファクチャリング(AM)、いわゆる3Dプリンティングと呼ばれる技術に着目して、航空・宇宙・防衛産業の発展に寄与する。そして上野部長が「面白い技術があることが分かった」と目を輝かせたのが、摩擦攪拌接合(フリクション・ステア・ウェルディング)をAMで行う技術だという。行っているのは、米国のMELDマニュファクチャリング社だ。摩擦攪拌接合は、金属を融点手前で接合する方法で、すでに確立された技術。それを本来、金属を溶かして固めていくAM技術と融合させたことが目に留まった。
 この技術が活きるのは「航空機及び装備品製造」だという。航空機や降着装置、ジェットエンジンなどは高級な鍛造品や鋳造品を素材とし、必要な機械加工や改質処理を行い部品として仕上げるが、素材の性質が最終製品の性能や耐久性に大きく影響する。例えば主翼の桁部品やエンジン部品では大型プレス機で加工された鍛造材に頼っている。そうした場面で本技術を用いると大型設備や金型を省略できることになるため、目下この技術を国内外へ売り出し中だ。
 そして同技術は「私たちだけではなく、米軍も注目している」ため、これを米軍と密接な防衛省や日本の航空・宇宙産業界へ紹介したいのだという。長期間に渡り少量多品種で運用されている航空機部品や装備品をこの技術で作ることができれば、世界的なサプライチェーン問題を解決することができる。

 

※写真=鍛造品や鋳造品を必要とする航空機エンジンの製造・修理などでMELDマニュファクチャリング社の技術が活きる

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