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2023.10.02

WING

第185回「日本が危ない」生き残りかけて挑むべき課題とは

 

低空ながらも安定飛行
発足2年の岸田政権振返り

 

 2021年10月に岸田文雄が首相の座についてからまもなく2年が経つ。岸田の頼りなさが目立ち、内閣支持率も低迷しているが、「ポスト岸田」をうかがう有力候補もおらず、野党もバラバラであり、低空飛行ながらも安定している。ただ、直面する諸課題に対応できるのか、疑問視する向きも強い。
 「(就任以来)やるべきことはやってきた」
 岸田は最近、周辺にこう語った。報道各社の世論調査を平均すると内閣支持率は30%台前半に低迷しているが、本人の認識とは異なるようだ。
 昨年12月に国家安全保障戦略など安保三文書を改定したこと、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額したこと、東京電力福島第一原発処理水を海洋放出したことなど、安倍晋三、菅義偉両政権が実現できなかった懸案をやり遂げたというのが本人の自負につながっている。
 岸田の思いは今年の年頭所感にも表れている。
 「この時代の大きな転換期にあって、その場に立ちすくむのではなく、皆の努力で、我々自らを変えることで、新しい時代にふさわしい日本を創り上げ、この困難な時代を乗り越えていく決意です」
 「そのために、戦後日本が直面し、積み残してきた多くの難しい問題、『先送りできない問題』に、正面から立ち向かい、一つ一つ答えを出していく。これからも、この覚悟で、政権運営に取り組んでまいります」
 ロシアによるウクライナ侵略、中国の周辺国に対する軍事的威圧、北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射と、日本の取り巻く安全保障環境が急速に悪化しているなかで、抑止力を強化しようとする岸田の姿勢そのものは評価されるべきだが、問題はその実行力にある。

 

宏池会イズムへのこだわり
踏み切れない武器供与

 

 「岸田氏は決断の時に直面すると逡巡する。それは『宏池会イズム』へのこだわりか」と、月刊「正論」10月号で疑問を投げかけたのはジャーナリストで、シンクタンク国家基本問題研究所理事長でもある櫻井よしこである。

「やるべきことはやってきた」と胸を張るが、今後挑むべき課題は山積。写真は9月4日の党改革実行本部による党改革成果の報告の様子(自由民主党HPより)

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