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2023.11.27

WING

NIDS、中国・ロシアと既存秩序の対立が激化へ

 中国安全保障レポート、南シナ海活動抑止がカギ

 

 防衛研究所(NIDS)は11月24日、同研究員独自の立場で中国の戦略や安全保障をめぐる動向など分析した「中国安全保障レポート2024」を発表した。近隣や関係のある他地域、宇宙・サイバー・電磁波の新領域など、着目するべき重要なテーマを中長期的な視点で分析する。レポートでは、中国とロシアが連携を強め、米国など既存の国際秩序との対立を加速させていく見通し。南シナ海などで中国が行う力による現状変更を阻止するか、許容するかが将来の国際秩序を決する最大の要因になるとして、日本では抑止力のさらなる強化と、東南アジア諸国などとの連携を強化する外交努力が一層重要になるとした。
 中国安全保障レポートは、今回の第14号でテーマを「中国、米国、ロシアが織りなす新たな戦略環境」として、3大核保有国の安全保障政策動向を比較・検討して、今後のグローバルな戦略環境を考察する。全文をウェブ上で公開しており、日本語のほかに、英語版や中国語版でも閲覧できる。
 このレポートで中国は、“ルールに基づく国際秩序”を力によって変更する動きを強化しており、米国ではその動きを警戒して戦略的競争相手と見て対抗姿勢を強めている。米中2国間では「新冷戦」の様相を深めている。その中でロシアは、米国と対立する一方で中国との関係を強化し、ウクライナへの侵攻によって国際秩序を巡る大国間競争へ大きな影響を与えている。それら各国の状況から、今後の各地の安全保障環境について考えていく。

 

 ロシアと接近も表立った支援には躊躇

 

 今回の中国安全保障レポートは4章立てで、第1章が「既存秩序の変革を目指す中国の戦略」。近年の中国が政治権力を集中させ、既存秩序への挑戦を強めるプーチン政権との関係強化を図る姿勢や狙いなどを示している。日本周辺の海空域だけではなく、欧州側の地域でも頻繁に共同演習や共同パトロールなどを行って、軍事的連携を深めている。

 

※図=第14号目の発表となる「中国安全保障レポート」(提供:防衛研究所)

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