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ANA・双日、ビジネスジェットチャーター手配会社設立へ
3-5年で売上10億円、今夏に北米乗り継ぎでスタート
ANAホールディングスと双日が、ビジネスジェットチャーターを手配する合弁会社「ANAビジネスジェット株式会社」を設立する。この新会社はビジネスジェットチャーターの手配事業を手掛けることにしており、北米や欧州路線などを中心としたANA国際線定期便から、現地でビジネスジェットを利用して最終目的地までの乗り継ぎ手配や、日本国内の空港から近隣アジア諸国に向けた直行チャーターを手配する。さらに、地上における宿泊やレストラン、さらにはリムジンの手配なども展開する。今上期中に、まずはロサンゼルス、シカゴを拠点とした北米で乗り継ぎチャーターと日本発直行便ビジネスジェットチャーターをスタートし、下期には欧州でサービス拠点を展開。さらに、来年度にはホノルルにサービスエリアを拡大して、それ以降、アジア等にエリアを拡大する。
新会社の設立は今年8月を予定しており、資本金は2億円。そのうち、ANAHDが51%を出資して、双日が49%を出資する。設立から3年から5年で、およそ10億円規模の売上を計上することを目指す計画だ。
欧米では一般的なビジネスツールであるビジネスジェットは、日本国内ではほとんど普及していないことが現状。しかしながら最近では日本航空(JAL)が、仏のダッソー・アビエーションと組んで、JALの定期便(東京−パリ間)と、ビジネスジェットのチャーターサービスを組合せた「JAL FALCONビジネスジェットサービス」の販売を5月1日からスタート。今回、ANAHDと双日がビジネスジェットチャーターを手配する新会社を立ち上げることで、日本のビジネスジェット普及の起爆剤となるか。日本のビジネスジェットを取り巻く環境が、大きく変わりつつある。
ANAHD、ホンダジェットと戦略的パートナーに
新会社でホンダジェット優先活用
新会社設立に加えてANAホールディングスは、ビジネスジェットチャーター手配会社の設立に向けて、ホンダジェットを販売するホンダ・エアクラフト・カンパニーとの間で戦略的パートナーシップに関する基本合意を締結した。
「ANAビジネスジェット」の柱となる北米や欧州などにおける乗り継ぎ便でのビジネスジェットチャーターにおいて、ホンダジェットを最大限活用してホンダジェットをプロモーションしていく一方、ANAが有する営業ネットワークをベースに、ホンダジェット購入希望者があれば、ホンダ・エアクラフト・カンパニーに顧客として紹介することなどが、このパートナーシップの狙いだ。さらに、ビジネスジェット市場の拡大と潜在需要を掘り起こしすることも目指す。
ただし、ANAビジネスジェットは、基本的にホンダジェットなどの機体を保有することはない。ビジネスジェットを保有する双日のほか、他の信頼あるオペレーターを活用して、ビジネスジェットの運航を手配する。双日は成田空港を拠点に、737BBJを1機のほか、大型ビジネスジェットを6機、機材管理を実施しており、新会社は双日が管理するビジネスジェットを優先的に利用することができる。ちなみに双日は昨年、米国でビジネスジェット事業で「フェニックスジェット」ブランドを立ち上げているが、ANAビジネスジェットにおいては、「フェニックス・ジェットのブランド、培ったノウハウを活用する」(双日・藤本昌義社長)方針で、「フェニックス・ジェットの機体はグアムに配備しており、基本的にどこにでも飛んでいくことができる。必要ならば、フェニックス・ジェットの機体を提供する」という。
さらに欧米・日本国内のその他のビジネスジェットオペレーターとも組むことによって、顧客の予算やニーズに応じて、豊富なラインナップから最適な機材を手配することができる体制を構築する。このなかでホンダジェットを運航するオペレーターを活用することで、ホンダジェットが有する高品質な空の旅を、利用者に提供することを目指す。
※写真=ANAHDと双日がビジネスジェットチャーターの手配事業で新会社ANAビジネスジェットを設立へ。ANAHDはホンダ・エアクラフト・カンパニーと戦略的パートナーシップも
※写真=ホンダジェット。昨年はセスナを上回る納入数を記録して、このクラスで世界トップに踊り出た
※写真=ホンダジェットのキャビン内部
※写真=ホンダジェットのコクピット
※写真=ホンダジェットを後方から撮影