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2023.12.05

WING

JAXA観測ロケットで小型高性能航法センサー「NANA-ka」実証

 測位衛星でロケット位置・速度算出、地上設備削減などコスト減
 
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は去る12月2日に、観測ロケット「S-520-33号機」の打上げに成功した。同ロケットには、インフレータブル展開型エアロシェル(RATS-L)のほか、インフレータブル伸展プラットフォーム (IEP)、実験データを効率良く収集し、地上へと送信するPIデータ収集装置(PDC)、そして小型高性能航法センサー(NANA-ka)という4種の機器を搭載し、それぞれ実証することに成功した。
 インフレータブル展開型エアロシェル(RATS-L)のほか、インフレータブル伸展プラットフォーム (IEP)は既に紹介したことから、残るPIデータ収集装置(PDC)と小型高性能航法センサー(NANA-ka)で、どのようなことを実証したのだろうか―――。
 小型高性能航法センサー「NANA-ka」(New Advanced NAvigation sensor、kansoku-rocket)の実証実験では、ロケットの飛行中の位置、速度を計測する航法センサーと、自律飛行安全管制の計算ソフトウェアの機能・性能を実証確認することを目的とした。
 現状、観測ロケットの経路監視は、地上のレーダー局と搭載トランスポンダーの間でパルス電波を往復させてアンテナの指向角と合わせロケットの位置を計測している。
 一方、「NANA-ka」では、測位衛星の電波を受信して、内蔵する慣性センサー(IMU)の計測と組み合わせて、飛行中のロケットの位置と速度を算出。その位置速度の情報と機体の健全性の情報を監視し、飛行中のロケットに異常が発生した場合には、指令破壊などの飛行中断判断指令を発することができるようにすることを目指した。ただし、今回の実証は、あくまで機能検証が目的であることから、飛行中断を動作させることはなかった。

※画像=小型高性能航法センサー「NANA-ka」の実物写真(提供:JAXA)

※この記事の概要
 ロケットでGoogleドライブを実現
 簡便かつ効率的にデータ送信・再構築  など