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ジャムコ、ボーイングNMAに「積極的に協力提案」
NMA限らず機体メーカーに熱可塑製品提案加速
ジャムコの田所務常務執行役員(取締役)が、ボーイングがローンチすることを検討中のNMAに対して、「当然、私たちはボーイングに向けて、従来から取り組んでいるギャレー、ラバトリー、シートなど、積極的な協力提案をしているところ」であることを明らかにした。
「(仮にNMAが来年ローンチされても)機体は2025年以降に運航を開始する。私たちが事業を展開している内装品ならば、構造部材やエンジンに比べると、(サプライヤーの決定は)数年先の決定となる」との見方を示し、ボーイングがNMAをローンチする判断を下したとしても、ジャムコには時間的なゆとりが残されているとの見方を示した。
また、ADP製法を用いた独自の炭素繊維構造部材をNMAに供給することを狙うかを問うと、「個別商材について、申し上げることは難しい」と明言は避けたが、「NMAに限定した話ではなく、CFRPも熱硬化型から熱可塑型へと自動車産業を含めて移行していく動きが顕著」との見方を示し、「その面で当社のCFRPも熱可塑の研究や、熱可塑を活用した航空機メーカーへの提案を行っていく」方針を明らかにした。
ボーイングが米自動車座席大手とJV設立
ジャムコの航空シート事業への影響は?
一方、ジャムコが現在注力しているシート事業では、ボーイングが自動車シートの最大手アビエント社とジョイント・ベンチャー「アビエント・エアロスペース」を設立に踏み切るという動きが出てきた。航空機製造の二大巨頭の一角でありかつジャムコシート事業にとって最大の供給先であるボーイングのこうした動きが、ジャムコのシート事業に対してどのような影響をもたらすか。
この点について田所常務は、「ボーイングは、航空機を製造するなかで、様々なビジネスクラスシート、ファーストクラスシートの供給力に不足を感じているようだ。ボーイングとしてはこの部分の供給力を向上したいと考えているようだ」との認識を示した。「(ジョイント・ベンチャーを設立しても)既存のサプライヤープラス、ジョイント・ベンチャーの力を加えて、ようやく需要を賄うことができる計画で、ボーイングとしては独占供給、すべての内製化を目指すものではないと説明を受けている」ことを明らかにした。さらに、「公正な競争をするということでアビエント・エアロスペースを設立するとのことで、当面、この動きに伴う当社への影響は小さなものではないか」との見解を示した。
※画像=ANAのA380搭載ファーストクラス席の初出荷を完了した。画像はANAのA380ファーストクラス席(提供:ANA)
※画像=KLMオランダ航空向けの「Venture」(提供:ジャムコ)