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斎藤国交相、航空会社・管制等に「基本動作・手順徹底を指示」
C滑走路閉鎖、運休相次ぎJRが新幹線の臨時列車運行も
羽田空港のC滑走路上で去る1月2日に発生した日本航空(JAL)のJAL516便と、能登半島地震の被災地に向けて物資搬送を行う予定で新潟空港に向けて羽田空港を飛び立つ予定だった海上保安庁機が衝突・炎上した事故の件で1月3日、斎藤鉄夫国交相が記者団の取材に応じ、この事故で亡くなった5名の海上保安庁職員と、その家族に哀悼の意を表明しつつ、「安全運航に万全を期し、二度とこのような事故が発生しないよう、基本動作および手順の徹底を航空会社および管制機関に指示した。海上保安庁においても、安全運航の徹底を指示した」ことを明かした。
この事故は新千歳空港を16時15分に飛び立って、17時47分に羽田空港C滑走路に着陸したJAL516便と、海上保安庁のMA722型機が衝突・炎上したもの。衝突後、JAL機に搭乗していた乗員乗客計379名(うち乗員12名)は18時05分に無事に脱出を完了。その後の調べで、乗客の中に打撲1名、捻挫1名の計2名の負傷を確認したほか、乗客13名がクリニックを受診したことが明らかになった。一方で海上保安庁機に搭乗していた6名のうち、機長を除く5名が死亡した。
JALが脱出した乗員に対するヒアリング調査を独自に行ったところ、乗員は管制からの着陸許可を認識し、復唱した上で進入・着陸操作を行ったことを確認したとしている。一方、管制側は海上保安庁機に対して滑走路進入許可を与えておらず、誘導路で待機するように指示していたという。しかしながら火傷を負うなどして重傷を負いながらも脱出した海上保安庁機の機長は「着陸許可を得ていた」と話しているとのことで、その認識が大きく食い違っていることも明らかになった。
そうしたなか国土交通省は「客観的な資料」として、事故機と管制との間で交わされた交信記録を公表。この記録によれば、海上保安庁機と管制の間で滑走路への進入を許可する指示が出されたことは無いことが明らかになった。
運輸安全委員会は事故が発生した1月2日に航空事故調査官6名を現地へと派遣しており、翌3日に海上保安庁機からボイスレコーダーとフライトレコーダーを回収したことを明らかにしていることから、今後、運輸安全委員会が回収したボイスレコーダーなどの解析を進むに連れて、事故原因の特定が進んでいくことになりそうだ。
また、羽田空港の4本ある滑走路のうち、事故が発生したC滑走路が閉鎖されていることから、航空会社各社の運航便に運休便が生じている。斎藤国交相は「航空会社にはできる限りの追加便の運航を要請し、空港ターミナル会社には滞留者に必要な支援を行うよう指示をした」ことを明らかにした。
さらに、JR各社に対しても対応を要請したとのことで、「新幹線の臨時列車が運転されることとなった」ことに触れた。
なお、閉鎖されたC滑走路の運用再開は現段階で見通しは立っていないが、斎藤国交相は「当該滑走路についても、現地調査や事故機撤去後、早期に再開ができるよう、対応に全力を尽くす」とした。
※写真=記者団の取材に応じる斎藤国交相。1月3日、国土交通省で撮影