記事検索はこちらで→
2024.01.26

WING

働く側の悲鳴届くか?航空連合春闘、1万円以上の賃上要求

 11時間のインターバル協定を全加盟組合で締結目指す

 航空連合は1月25日に記者会見を開き、ベースアップを軸に1万円以上(定期昇給、賃金カーブ維持分を含まない)の月例賃金の改善を、2024春闘の目標とすることを明らかにした。航空連合としては、昨年の春闘に続き、2年連続で過去最高の賃上げ方針を掲げたかたちだ。一時金・賞与には関しては航空連合の中期目標でもある5.0カ月台を目指す。さらに、働き方・休み方の改善に向けて、一部組合で締結されている「11時間の勤務時間インターバル協定」を、全加盟組合で締結することを目指す方針を掲げた。
 航空連合は1999年に結成し、57組織4万4306名が加入する産業別労働組合だ。航空業界は未曽有の危機と呼ばれた新型コロナパンデミックという荒波を乗り越え、再び成長軌道へと乗ろうとしている。
 そうしたなか昨年の2023春闘ではまだまだ航空業界全体が回復の道半ばということもあったが、政府の賃上げ要請が追い風となり、航空連合も「産業の転換点」に位置付け、航空連合として過去最高となる月例賃金6000円以上の賃金要求という方針を掲げて労使交渉に臨んだ。結果として49組合がベースアップを要求し、43組合で平均6100円の有額回答を引き出すことに成功した。大きな成果を得た一方で、当時はまだコロナ禍ということもあって、連合が示す3%の賃上げ水準には届かなかったことが実態だ。
 今春闘は前述したように、それを大きく上回る「1万円以上」を実現する方針を掲げており、これは連合の目標とする定期昇給分を含め5%以上の5.87%水準となる計算だ。その数字を航空連合が打ち出した背景には、あるいは働く側の悲鳴にも似た危機感が反映されているとも言えそうだ。

※この記事の概要
・内藤会長、「物価上昇補い、他産業と格差是正を」
 強い危機感を1万円“以上”に込めて交渉臨む
・11時間勤務間インターバル、日々の休息時間確保  など