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GPS「なりすまし」や妨害多発、FAAもSAFOで注意喚起
出発前の備えや飛行中の注意事項を記載
ロシアによるウクライナ侵攻など、世界規模で地政学的リスクが高まるなか、GPS/GNSS(衛星測位システム)に対する「なりすまし」(スプーフィング)および妨害(ジャミング)事案が急増している。航空機の安全運航を脅かすだけに、航空会社、ビジネス航空など、まさに戦々恐々だ。
そうした事態に米連邦航空局(FAA)は、GPS/GNSS信号が途絶えた環境下における運航に関する情報とガイダンスを運航会社と製造業者に提供するSAFO(Safety Alerts for Operators)を発行して、注意を呼び掛けた。
FAAによれば、昨年、特定の空域で相次いでGPS/GNSSのスプーフィング事件が報告されたとのこと。このスプーフィングでは、攻撃者が有効なGPS/GNSS信号を模倣し、オペレーターの受信機がそれを追跡することで、航空機を誤った場所に誘導する可能性がある。
また、GPS/GNSS妨害(ジャミング)も多発しており、全地球航法衛星システム(GNSS)からの比較的弱い信号を、はるかに強力な地上ベースのストリームで圧倒することにより、フライトデッキの航法システムが受信するデータをブロックするもの。
SAFOでは、「最近のジャミングやスプーフィングは、状況認識の喪失やパイロットや地上の管制官の作業負担の増加により、安全運航上のリスクを増大させる可能性がある」と指摘している。