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2024.02.13

WING

第193回「日本が危ない」“平和的な話し合い”は最善策か

 

選挙イヤーの先陣は台湾
辛くも勝利した民進党

 

 米国をはじめ注目の選挙が相次ぐ「選挙イヤー」の先陣を切って、1月13日に実施された台湾総統選と立法委員選(国会議員に相当、定数113)の「影の主役」は中国だった。中国に融和的な中国国民党(国民党)が勝利するよう中国が露骨に介入したにも関わらず、日本や米国との連携を重視する民主進歩党(民進党)候補の頼清徳が勝利したことは日米にとって望ましい結果となった。ただ、民進党は立法委員選では過半数割れとなり今後に不安を残すこととなった。
 台湾で初の直接選挙が行われたのが1996年。これまで2期8年ごとに政権が交代してきたが、民進党は初めて3期目を担う。頼清徳と副総統候補、蕭美琴のペアは558万6109票(得票率40.05%)を獲得した。
 2016年(56.12%)と2020年(57.13%)の過去2回は得票率がいずれも5割を超えていたが、今回は大幅に減った。しかも立法委員選で、過去2回はいずれも民進党が単独過半数を確保したが、今回は過半数割れし、国民党に逆転され、頼は厳しい政権運営を強いられることになる。
 台湾の選挙に詳しい現地の専門家によると、民進党の基礎票は4割あるが、得票率を見ると頼はそこから積み上げることはできなかった。民進党幹部らの相次ぐ女性スキャンダル、長期政権への飽き、物価高などの要因に加え、副総統を務めた頼に新味がなかったこともある。若者層から支持を得られなかったことも大きい。

 

見過ごせないTikTokの影響
有効利用が若者票獲得へ

 

 この専門家は中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の影響力も、頼に対する若者の支持が広がらなかった要因の一つとして挙げる。九州よりやや小さい台湾の人口2300万人中、約500万人がTiktokを利用している。
 台湾当局は米国などと歩調を合わせる形で「一部の国(中国)の認知戦のプラットフォームになっている」(行政院長の陳建仁)として、2020年から公的部門での使用を禁止している。このため頼をはじめ民進党はTikTokを総統選で使用しなかった。

 

写真は日本へ接近した殲16(J-16)。中国は台湾海峡で恣意行動を繰り返す(提供:統合幕僚監部)

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