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2024.02.28

WING

川崎重工・下川プレジデント、防衛産業基盤維持・強化へ5要望

 運用段階入った基盤強化策、制度設計に更なる磨きを

 

 川崎重工業は防衛関連事業の売上収益が、2030年度には5000億円~7000億円に達する見込みだ。2022年度の売上収益が2400億円だったことから、少なくとも倍以上、最大で3倍弱の成長を目論む計算だ。
 川崎重工業がこのような成長戦略を描くことができるようになったのは、もちろん日本を取り巻く安全保障環境が劇的に変化したほか、世界規模で地政学的リスクが高まっていることが背景の一つにはある。さらに、官民一体の防衛生産・技術基盤の維持強化に向けた議論が繰り広げられたこともあろう。
 本紙の取材に応じた川崎重工業航空宇宙システムカンパニーの下川広佳プレジデント(専務執行役員)は、「防衛3文書において、防衛生産・技術基盤はいわば防衛力そのものと位置付け、各種の基盤強化策を策定いただいたこと、防衛生産基盤強化法を施行していただいたことに感謝を申し上げたい」と話す。
 さらに、従前から産業界が要望してきた日本版DARPA(※DARPA:米国防高等研究計画局)の役割を担うことが期待される、防衛イノベーション技術研究所(仮称)の設立が2024年度予算案において表明された事にも言及。「日本国民にとって、社会課題の一つである我が国の防衛力強化に向け、国家防衛戦略に示される7つの重視分野(※スタンド・オフ防衛能力、統合ミサイル防衛能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力・国民保護、持続性・強靭性)に対して、我々が有するあらゆる最新鋭の装備と技術知見を投入し、国の安全保障の一翼を担っていく覚悟だ」と話し、航空宇宙システムカンパニーのみならず、ロボットやモーターサイクルなど、コングロマリットとして川崎重工業が有する多彩な民生技術を活かし、総力を挙げて防衛技術研究開発に寄与していく姿勢をみせた。

 

※写真=航空宇宙システムカンパニーの下川プレジデント

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