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2024.03.15

WING

5年に一度の羽田国内線枠配分、議論がスタート

 パンデミック発生踏まえ評価期間の延長も視野

 世界屈指の混雑空港でもある羽田空港の国内線発着枠配分を決める国土交通省の羽田発着枠配分基準検討小委員会(座長=竹内健蔵:東京女子大学現代教養学部国際社会学科教授)の第1回目の会合が3月14日、国土交通省で開かれた。
 羽田空港の発着枠は混雑空港の使用許可の期限が5年毎に到来する機会を捉えて、各航空会社の発着枠使用状況などを評価し、その結果を次の使用許可に反映することになっている。そうしたなか現在の使用許可は2025年1月に期限を迎えることから、同小委員会はこれまでの発着枠の使用状況を確認するほか、その配分方法に関する考え方を検討することになる。同小委員会としては、今年夏頃までに、今後の発着枠配分に関する考え方を取りまとめる方針だ。
 前回の発着枠配分の見直しは2019年9月に行い、5年の使用期限を迎えた2020年1月に実施された。その再、国内線への増枠は無く、既存の発着枠の一部を航空会社から回収し、評価・再配分するかたちで行われた。結果として19枠分が回収され、16枠を再配分した。残る3枠は、新規参入者が出た場合に備えて留保とし、新規参入者が現れるまでの間は、既存航空会社が暫定的に使用することにしていた。
 このなかでインバウンドを地方へ誘客するため、再配分枠は幹線以外の地方枠とし、需要喚起に向けた地域(自治体等)と航空会社の優れた提案を評価して枠を付与する「政策コンテスト枠」を2枠増加し、従来の3枠とあわせて5枠とした。

 とりわけ今回検討すべき事項としては、評価対象となる5年間の使用期限のうち、3年もの間、新型コロナウイルス感染症の影響を、どう考慮するのかという事がポイントの一つだ。政府による移動・行動制限の影響を受けて、航空会社の旅客需要は激減。自助努力はもちろん、政府支援や借入金で凌いできたことが実情だ。パンデミックが収束したことを受けて、足下の旅客需要はかなり回復してきたとはいえ、それでもコロナ前の状況にまで完全回復してはいない。さらに、負債を積み上げた結果、財務状態も良好とは必ずしも言えない状況にある。
 また、カーボンニュートラルなど、航空を取り巻く環境の変化も著しい。持続可能な航空燃料(SAF)の利用を含め、カーボンニュートラルに向けた施策推進は、航空会社の新たな負担にもなっている。
 さらに、少子高齢化による生産年齢人口の減少で、他産業を含めた人手不足が顕著。本邦航空業界も,慢性的な人手不足に陥っており、現場が疲弊し、その結果として繁忙感もあって、採用したとしても定着しないという悪循環に陥っている。賃上げを含め、魅力ある産業とするための費用も決して少ない負担ではない。こうした様々な航空を巡る環境の変化に対応した各社の取り組みを、今回の枠配分でどのように評価するのかなどと言った観点が大きな議論の焦点になる。
 加えて、政策コンテスト枠や1便・3便ルールの取扱い、さらにはスロット・オークションの考え方なども検討材料となる。
 なお、次回の小委員会は4月16日に開催する予定で、航空会社各社に対するヒアリングを行う予定だ。

※この記事の概要
 コロナ禍を評価対象に含めるか否か
 1便・3便ルールは消える?