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第200回「日本が危ない」米国とともに台湾を守れるのか
急拡大する中国戦力
台湾統一へ着実に準備
米国には民間シンクタンク・スティムソン・センター傘下で北朝鮮の弾道ミサイル、核開発に関する動向を分析する「38ノース」がある。日本にとって北朝鮮の動向は重要であるが、最大の脅威はなんといっても中国だ。その中国軍の動向について民間の立場から衛星などを使って情報収集、分析を始めようという動きが出てきた。
中国軍の動向分析をはじめたのは櫻井よしこが理事長を務めるシンクタンク「国家基本問題研究所(国基研)」。この春に陸上自衛隊中央情報隊直轄の情報専門部隊である基礎情報隊の隊長を務めていた陸自1佐、中川真紀を研究員として迎えた。基礎情報隊は2007年に創設された組織で、隊員は情報、地誌および語学能力に長けた自衛官らで構成され、中国、北朝鮮、東欧などの情報を収集している。
中川は第一弾として、中国軍の台湾統一に向けた戦力整備の状況をまとめ、「国基研チャンネル」で発表した。
中国軍をめぐっては米インド太平洋軍司令官ジョン・アキリーノ(当時)が3月20日に下院軍事委員会公聴会で、2027年までに台湾に侵攻する準備を整えるとの見方を示した。アキリーノは中国軍が2027年までに台湾に侵攻しようとする国家主席、習近平の目標を達成しつつあることを「あらゆる兆候が示している」と証言した。
中国軍は2020年以降、2230億ドル(約33兆7200億円)超を費やし、戦闘機400機以上、軍艦20隻を増やしたほか、弾道ミサイルなどを倍増させたとアキリーノは報告した。
強襲揚陸艦で渡海侵攻強化
周辺での演習も活発化
中川はOSINT(オシント、オープンソース・インテリジェンスの略)と呼ばれる公開情報を使って、中国軍の台湾侵攻の準備状況を分析した。
23年6月に大隅海峡を通過して太平洋へ航行したユーシェン級強襲揚陸艦(提供:統合幕僚監部)