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100%SAF、温暖化要因の飛行機雲発生を抑制
煤粒子排出減少、飛行機雲の氷晶が56%削減
持続可能な航空燃料(SAF)は、燃焼すれば従来のジェットA-1のようにCO2を発生させるが、製造のライフサイクルでCO2を削減することができるとして、温室効果ガス排出抑制に挑む航空業界にとって垂涎の燃料だ。そうしたなか新たな研究により、SAFはそのライフサイクルのみならず、地球温暖化の一因ともされる飛行機雲の発生を抑制することにも繋がり、運航中も気候変動抑制効果が期待できるかもしれないということが分かった。
この研究はドイツ航空宇宙センター(DLR)、エアバス、ロールス・ロイス、そしてSAF製造者のネステが共同で取り組んだ「ECLIF3」。共同研究チームは100%SAFを使用して飛行した場合、従来のジェットA-1ケロシン由来のジェット燃料を使用した場合と比較して、煤(すす)粒子の排出と飛行機雲の氷晶の形成が大幅に減少したとの研究結果を明らかにした。
共同研究に際して4者は、エアバスのA350XWBを飛行試験機として実際に飛行実証した。A350XWBの搭載エンジンは、TrentXWBだ。そこにネステが製造した100%SAFを投入して行ったもので、民間航空機の双発エンジンに100%SAFを使用した場合の影響に関して世界で初めて飛行中の影響を調査した。
その結果、ジェットA-1燃料と比較すると、100%SAFの消費量あたりの飛行機雲の氷晶は56%減少するとの結果が得られた。飛行機雲は温暖化の一因とも言われており、今回の結果によって、将来的にSAFの生産量が拡大して100%SAFで運航することで、飛行機雲の発生を抑制することができる可能性が示唆されたかたちだ。
※写真=100%SAFにより飛行機雲の発生を抑制することができることが明らかに(提供:DLR)