【潮流】米に迫る旅行黒字
6月は総会のシーズン。団体の通常総会、企業の株主総会が連日のように続く。旅行業界も6月5日の日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)を皮切りに、日本観光振興協会、トラベル懇話会と続き、今週は日本旅行業協会(JATA)、来週は全国旅行業協会(ANTA)の通常総会が開催される。
観光立国推進基本計画が示されて、訪日インバウンド施策が国の成長戦略に盛り込まれた当時は、海外アウトバウンド施策が国から明記されることを考えたこともなかった。観光の基本戦略がインバウンドにあることは国益から言えば当然で、諸外国でもアウトバウンド施策を聞いたことはほとんどない。
政府・観光庁がアウトバウンド施策を明記したのは、国際観光旅客税(出国税)の導入が契機の一つになったと思っている。それ以前からという話もあるだろうが、双方向交流の必要性は言われても、実際の具体策はないに等しかった。
訪日外国人旅行者から出国税を導入することは、訪日外客向けのインフラを整備する上で、原資として重要であるし、それ自体は理解できる。しかし、日本人旅行者から国際観光旅客税を聴取するなら、その分を裨益することが当然で、それが散々議論されたことは周知の通りだ。