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2024.07.10

WING

航空救難団佐藤司令、命を救うための後悔なき訓練の日々

 環境でブレない救助の任務、全局面に対応

 航空救難団司令の佐藤信知空将補は昨年12月に団司令となったが、直後に能登半島地震が発生し、災害派遣の指揮を執ることになった。そこで見たものは、救助に当たる隊員たちのプロ意識の高さ。人を救うための体力・精神力には驚かされることばかりだった。また本来の任務である航空事故における捜索・救助も厳しさを増す安全保障環境の中で、新たな方策の検討が進む。環境が大きく変わる中、航空救難団ではどのように技量を研鑽しているのか、話を聞いた。
 航空自衛隊航空救難団の任務は、事故などに遭遇した搭乗員の捜索・救助を行い、命を救うこと。特に想定される対象は、単座戦闘機のパイロット。任務中にベイルアウトして脱出した位置を特定した上で、ヘリで引き揚げて救出する。脱出直後のパイロットは、過酷な環境の中で1人、限られた装備品によって自身の命をつないでいる。そのため、捜索・救助の成否はいかに迅速・確実に行うかにかかっている。戦時下では可能であれば、救助したパイロットを再び戦闘に復帰させる。またパイロットだけに限らず航空機の乗員、さらには災害派遣というかたちで民間の遭難者の救助にも当たる。佐藤信知団司令によると、航空救難団では皆「他を生かすために」をモットーとして任務に取り組んでいると説明した。
 平時で必要とされるのはおおむね災害派遣が中心。その際に派遣される現場では悪天候が多く、あるいは夜間など、航空機を運用する部隊にとって厳しい状況の中で、任務を確実に遂行しなければならない。そのため隊員に求められる知識・技能・能力はすべてにおいて高くなければならない。
 部隊では、自衛官の基本ともいえる“練習でできないことは本番でもできない”という思いを常に抱いて訓練に臨んでいる。本番では当然、練習と同じようには動くことができない。しかし実戦に近い環境を想定して取り組む訓練のレベルを段階的に上げて着実にクリアしていく。本番でそれが確実に行えるよう、隊員は知識・技能を可能な限り身に付け、自信を持って任務に臨み、確実に完遂できるようにしているという。