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2018.04.05

ウイングトラベル

体験型コンテンツの支出を世界最高水準に

「楽しい国日本」へ提言、20年8000億円目標

 観光庁の検討会議は「楽しい国日本」の実現に向けた提言をまとめたが、一人当たりの「娯楽サービス費」を、現状の5014円から世界最高水準の2万円程度まで4倍に引き上げ、2020年の訪日外国人4000万人時代には総額8000億円の支出を目標に掲げる方針だ。政府は、2020年に訪日外国人旅行消費額8兆円を目標に掲げており、このうち1割を体験型観光による娯楽サービス費で稼ぎ出すことを目標とする方針だ。
 現在、日本を訪れる外国人旅行者の一人当たりの平均消費額は15万4000円。そのうち体験型観光の支出に該当する娯楽サービス費への支出は5014円で、外国人消費全体に占める割合はたった3.3%に留まる。娯楽サービス費の総消費額は1439億円で、順調に伸びてはいるものの、過去5年間の伸びがそのまま継続しても2020年には2300億円強に留まるとして、外国人旅行消費8兆円の目標に対する寄与度は「極めて小さい見込み」と危惧した。
 他方、OECDレポートによると、一人当たりの娯楽サービス費相当額が先進国で最も高いのはオーストラリアの1万6790円(2015年)、次いでアメリカの1万6726円(2015年)、カナダの6011円(2016年)とし、同じ基準で算出した日本の一人当たり娯楽サービス費相当額は4220円(2015年)に留まるとして、オーストラリアの約4分の1にしか満たないのが現状とした。
 とくに、観光に関する政府目標のうち、訪日外国人旅行者数については、2017年に2869万人に達して4000万人目標に向けて順調に拡大している一方で、訪日外国人旅行消費額は2017年に4兆4000億円に留まり、2020年の8兆円目標の約半分に留まり、達成への道筋は見えていない。
 そこで、日本でも体験型コンテンツを抜本的に強化し、一人当たり娯楽サービス費の支出を世界最高水準まで高めるため、国、民間、地方自治体、DMO等の関係者が一体となり、具体的なアクションを早急に起こしていく必要があるとして、今回の提言をとりまとめた。