ウイングトラベル
★海外からの企業会議・報奨旅行の受け入れ強化へ
観光庁、コンテンツ開発支援へ6件の新事業採択
観光庁はこのほど「海外からのミーティング・インセンティブ旅行誘致に向けた地域連携支援事業」における二次公募として新たに6件の事業を採択した。MICEのうち企業等の会議(M)、報奨旅行(I)に対するコンテンツ開発に対して1500万円を上限とした事業に対する支援を行い、磨き上げを行っていく。企業等会議や報奨旅行は世界的にも市場規模が大きく、今後も成長率が見込まれる分野とされている。そうした中で観光庁は各地域において誘客の仕組みやコンテンツ造成への取り組みを加速させていくことで世界からの需要取り込みに結び付けていきたい考えだ。
ユニークべニュー夜間活用など地域資源磨き上げ
上限1500万円規模の事業について支援
MICEのうち、MとIに相当するどビジネス目的による訪日客は一般観光客と比較すると長い滞在日数や高い消費単価の傾向があり、国内全体の消費額の上積みにつながるとともに、需要の平準化に資するものと考えられている。さらに、MとIに相当する旅行については世界的にも市場規模が大きいことから、諸外国においても誘致強化に向けた競争が加速している状況だ。
しかし日本の場合は国内で誘客の仕組みやコンテンツ造成に対して遅れが見られており、世界からの需要を十分に取り込み切れていないの実情だ。そうしたことから、観光庁では日本が受け入れ国としての地位向上を図るために「海外からのミーティング・インセンティブ旅行誘致に向けた地域連携支援事業」を立ち上げ、支援に乗り出すこととした。
同事業は地域でミーティング・インセンティブ旅行を推進していくためにコンベンションビューロー、自治体、地元産業、旅行会社などの地域関係者が連携し、地域に不足しているものが何であるのかを検討してもらった上で、地域において複数のM・I向けのコンテンツの開発やモデルイベントなどを実施。その上で実際の送客につなげる取り組みを推進するという流れで事業を構築。これを推進するための費用を観光庁が支援を行う。
支援対象となる要素として観光庁は「地域の伝統産業・知的資産等を活用したM・Iコンテンツの造成・磨き上げ」「チームビルディングコンテンツの造成・磨き上げ」「ユニークべニューの新規粥用、夜間等の新たな活用によるモデルイベント」の実施の3つの類型を挙げ、このうち複数の要素を含む事業に対する支援を行う。
このほか、PR動画の撮影や、ホームページ改修など販路構築に向けた取り組みに関する費用についても支援を行うことにしている。
二次公募で6都県の事業を採択、合計15件に
スタートアップツーリズムや県またぐ旅行誘致
観光庁は今年4月に一次公募として9件の事業について採択を行った。これに引き続き5月から6月にかけて二次公募を実施。選定委員会による審査を行った結果、新たに6件の事業について採択を行った。この結果、一次公募とあわせて全国で15件の事業を採択することとなった。
今回採択された事業のうち石川県の一般社団法人きたまえJAPANは「アートシンキングによる能登半島の創造的復興を主軸とした新興アジアから北陸エリアへのスタートアップツーリズムM.I旅行誘致事業」というテーマで取り組みを推進することにしている。このほか、科学分野を生かした素材を切り口としたコンテンツの磨き上げや2つの県をまたいで、それぞれの地域が連携してインセンティブ旅行を誘致する取り組みなどが採択された。
政府は昨年5月に策定した「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」において、ビジネス目的での訪日外国人旅行消費額について2025年に19年比約2割増に相当する8600億円まで増やすことなどビジネス分野での訪日インバウンド誘致促進に力を入れていく方針を示している。そうした取り組みの一環として、企業会議やインセンティブ旅行などの受入体制を各地域で強化していくことで、目標の達成に結びつけていきたい考えだ。
今回採択された案件は以下の通り。(カッコ内は申請者)
▼「つくば周辺の知を活用したエクスカーション高度化プロジェクト」(つくばエクスカーション高度化コンソーシアム)
▼「DMO芝東京ベイにおける海外からのミーティング・インセンティブ誘致に向けた地域連携コンテンツ開発事業」(一般社団法人竹芝エリアマネジメント)
▼「横浜はC・Eだけじゃない!M・I誘致で経済効果波及を全国に!」(横浜M・I誘致推進協議体)
▼「M・I旅行のニーズに即した、横浜からわずか30分で行ける、横須賀高付加価値コンテンツの造成・磨き上げによるMI誘致促進事業(横浜/横須賀M・I誘致推進コンソーシアム)
▼「アートシンキングによる能登半島の創造的復興を主軸とした新興アジアから北陸エリアへのスタートアップツーリズムM,I旅行誘致事業」(一般社団法人きたまえJAPAN)
▼「奈良・三重県域を超えたインセンティブ旅行誘致連携事業」(一般財団法人奈良県ビジターズビューロー)
※写真=観光庁は報奨旅行などの誘致促進に向けて地域コンテンツ磨き上げに向けた取り組みを強化(写真はイメージ)