ウイングトラベル
★豪政観、来年までに完全回復目指す
日本市場向け商談会、過去最大規模で開催
オーストラリア政府観光局は、日本市場向けの商談会「オーストラリア マーケットプレイス ジャパン 2024」を8月26・27日の2日間にわたって長野市で開催した。オーストラリアからセラー72人、日本から旅行会社バイヤー61人が参加、期間中に4000件近くの商談を実施し、過去最大の規模となった。イベントの規模感について、オーストラリア政府観光局のアンドリュー・ホグ アジア地区・航空担当副局長は「オーストラリアが日本市場を重視している表れだ」と強調した。今後は今回のイベントなど、業界向け(BtoB)、一般消費者向け(BtoC)のプロモーションを通じて、「できるだけ早いタイミングで日本市場をコロナ前の水準、それ以上に回復させたい」と述べ、来年までに完全回復を目指していく姿勢を見せた。
6月の日本人訪問者数はコロナ前の74%まで回復
為替の変動幅低いことが優位性に
日本からオーストラリアへの訪問者数は、最新の数字となる2024年6月で月間2万310人に達し、コロナ前の2019年同月比で82%まで回復。同月までの過去12カ月間の数値を見ると36万130人となり、2019年同期比74%に達している状況だ。ちなみに6月の日本人総出国者数は19年比61%水準の93万228人となっており、オーストラリアへの旅行需要の戻りが早いことが見て取ることができる。
好調の要因について、ホグ氏はリピーターが多い点、そして「米ドルやユーロと比べ、豪ドルは円との為替の変動幅が低く、比較的コストパフォーマンスが良い」点を挙げ、優位性をアピールした。
旅行会社と連携、新プロダクト開発も
世界遺産キャンペーンなどBtoCにも注力
日本市場の完全回復へ向け、オーストラリア政府観光局は、BtoB及びBtoCに向けたアプローチを強化する。BtoBにおいては、旅行会社との連携を重視、新プロダクト開発にも意欲を見せる。またBtoCへの取り組みについては、今年5月に「オーストラリアの世界遺産は”体験”だ!」と題し、世界遺産に焦点を当てたキャンペーンをスタートしている。
旅行業界向けには、今回のオーストラリア マーケットプレイス ジャパンをはじめ、9月にはMICEマーケットを対象とした「オーストラリア ネクスト 2024(旧ドリームタイム)」をクイーンズランド州ケアンズで開催、10月は西オーストラリア州パースでオンライントレーニングプログラム「オージースペシャリストリストプログラム」修了者を対象とした「グッデイ オーストラリア」を開催することになっている。
これらのイベントには、日本からも旅行会社のスタッフが参加する予定だ。
他にも9月下旬の「ツーリズムEXPOジャパン」への出展や、来年4月末から5月頭にかけては、クイーンズランド州ブリスベンでトラベルトレードショー「ATE(Australian Tourism Exchange)2025」の開催を控えている。
さらにホグ氏は「BtoBtoC」の取り組みとして、旅行会社の一般消費者向けプロモーションに積極的に協力していくとした。
プロダクト開発の一例としてホグ氏は「新規のホテルやグランピング、新しいアトラクション、先住民体験などを提案していきたい」を挙げた。
一方、「オーストラリアの世界遺産は”体験”だ!」は、世界遺産検定1級を持つお笑い芸人の「あばれる君」をアンバサダーに任命して展開しているところで、現在は、あばれる君の世界遺産ウルル カタジュタ国立公園へのロードトリップを動画で公開中だ。今後は他の世界遺産にも拡大していく予定にしている。
同キャンペーンは、日本では2022年10月にスタートしたグローバルキャンペーン「『グッデイ』ではじめよう、オーストラリア」の一環。同キャンペーンに登場するカンガルーのキャラクター「ルビー」は、来年開催される大阪・関西万博のオーストラリアパビリオンにおいて公式マスコットになる予定だ。
そのほかBtoC展開では、雑誌やテレビドラマのロケなど、メディアでの露出やソーシャルメディアでの広告展開などを進める。
航空座席供給量はコロナ前の約1.5倍
ヴァージン運休の影響「軽微」、新規路線に期待
一方、日本−オーストラリア間の航空座席供給量は、現在コロナ前の2019年比で149%を推移、ホグ氏は「日本とオーストラリア双方からの旅客需要に支えられている」と評した。
既報の通り、羽田−ケアンズ間を運航するヴァージン・オーストラリア航空が来年2月に運休、これについてホグ氏は「同路線は小型機材による運航で、座席供給量は全体の5%程度に過ぎない」と指摘する。
ケアンズについては「引き続きジェットスター航空が運航する」と説明、また「10月からANAの成田−パース線が週3便で再開、日本航空(JAL)の成田−メルボルン線は週3便から週6便に増便するなど、座席供給量を増え続けている」と述べ、大きな影響はないとした。
ヴァージン運休に伴う羽田の発着枠については、「ヴァージン・オーストラリア航空がスロットを保持しなければ、オーストラリアの他の航空会社がその発着枠を利用することになるだろう」との見解を示し、今後は、札幌(新千歳)や大阪(関西)、またオーストラリア側でも「運休したゴールドコーストやアデレード、さらにダーウィン」といった新規路線の開設にも期待を寄せた。
※写真=オーストラリア政府観光局アジア地区・航空担当副局長アンドリュー・ホグ氏
※写真=長野で開催した「オーストラリア マーケットプレイス ジャパン 2024」の様子