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2024.09.09

【潮流】ChatGPTが選ぶ次の総理大臣

 自民党総裁選挙に多くの有力議員が名乗りを上げ、何やら人気投票のような賑を見せている。評論家、政治記者、タレントの評価よりも、膨大なデータから答えを導き出す生成AIに聞いたほうがはるかに的確ではないかと思い、ChatGPT4.0に自民党総裁選挙に出馬を表明、または表明するであろう国会議員を採点してもらい、次の総理大臣に誰が相応しいのかを聞いてみた。
 なお、ChatGPTに限らず生成AIは、こちらが聞くためのプロンプトによって、間違えたり、実際に答えが異なることも多くあり、「この時のChatGPTはこんな風に答えた」程度に留めてほしい。
 ChatGPTは、総理大臣になる基準について、(1)政治経験と実績(2)政策ビジョンと改革姿勢(3)国際関係・外交力(4)国内の安定感・支持基盤(5)危機管理能力の5点を挙げた。
 すなわち、総理大臣として国政をリードするためには、豊富な政治経験と成果が必要であり、外交・経済・社会問題でどのような政策を掲げているか、また改革への意欲が強いか、また、国際社会での日本の立ち位置を強化するための外交力やリーダーシップ、国内では党内外の支持基盤の強さ、国民に対する信頼度や支持率があるのか、さらに、パンデミックや経済危機、自然災害などの緊急時に迅速で適切な判断ができるかなどを採点した。
 結論から言うと、ChatGPT4.0が出した評価は10点満点中、河野太郎氏、茂木敏充氏が8.5点で最も高く、次いで石破茂氏、林芳正氏8.0点、高市早苗氏7.5点、上川陽子氏7点、小泉進次郎氏6点、小林鷹之氏5.5点だった。5項目を基準とすれば、政治経験と実績が未知数の議員の評価は下がらざるを得ない。
 ChatGPTは茂木氏を「経験豊富で党内調整力が高く、安定したリーダーシップが期待できる」とした一方で、河野氏を「改革派としての実力は申し分ないが、党内基盤の強化が必要」と指摘。厳しい評価の小泉氏は「若手の期待株だが、総理大臣としての成熟度や実績に欠ける」、小林氏は「若手のホープだが、総理大臣としての成熟度や経験に欠ける」といずれも成熟度や経験のなさを挙げ、総理大臣は政治経験と実績を積んでからと時期尚早と示唆した。
 一方で、政治経験と実績が十分にある石破氏は、「党内基盤が弱い点」、林氏は「変革の意欲」を課題に挙げる。また、高市氏は「広範な支持基盤を持つには限界。とくに外交や経済分野での具体的な実績が必要」、上川氏は「総理大臣として求められる幅広い分野での実績や外交力に欠ける。未知数の部分が多く、党内支持基盤の強化が課題」と、ともに支持基盤の弱さを指摘した。
 ちなみに、立憲民主党も代表選が始まったが、候補者の総理大臣としての評価は、野田佳彦氏、枝野幸男氏が7.5点、泉健太氏が6.5点だった。民主党時代に野田氏は総理大臣、枝野氏も官房長官を務めた。野田氏は政権運営の失敗、枝野氏は外交経験、泉氏は政治経験不足が指摘されたが、それでも党代表を務めたことで、小泉氏や小林氏よりは評価が高い。
 これらの中で、内閣総理大臣になった暁には、最も観光立国推進政策を進めるのは誰かの問いに対して、ChatGPTは河野氏、茂木氏、石破氏を挙げた。中でも、河野氏と茂木氏は「国際的な経験を持ち、外交や経済の視点を観光に結びつけることができ、観光を日本の経済成長戦略の一環として位置付ける可能性が高い」。また、石破氏も「地方創生に力を入れ、地方観光の振興に注力することで、観光立国政策に大きな役割を果たす可能性がある」と指摘した。
 ChatGPTが膨大なデータから答えを導き出す以上、経験や実績不足の小泉氏や小林氏の評価は自ずから低くなる。また、新しい視点や革新性は可能性はあるものの、その実行力を問うている。この二人は今回の総裁選が「次のステップに進むための鍵」と位置づけた。
 自民党総裁選に対する政治、経済、社会の動き、マスコミの報道を見ていると、客観的なデータや情報に基づいて、冷静、中立的に評価するChatGPTの方が信頼できる。(石原)